6-465 新しい世界へ
(新しい……世界……?)
その言葉が懐かしくもあり、今はない身体の胸のあたりが締め付けられるような感覚が頭の中に生まれる。
そんな思いを感じていたのか、盾の創造者はその感情に対し理解を示すように、やさしい口調で言葉を掛ける。
(そう……あたらしい世界だ。次はどのような生き物がよいのか?これまで創り出した世界は、満足のいくものだったからな。また魔素や元素など別の、仕組みを作り出すのもいいだろう)
自信の痛みを気遣う様な言葉に、盾の創造者はホッとする。
それと同時に、どうしてこの者は自分に親切にしてくれるのかという不信感も沸き上がる。
自分の気持ちが相手に読まれたことにも驚いたが、反対に自分も相手の気持ちが流れ込んでくる。
これは、自分のことを心配してくれている感情だった。
(あなたは……なぜ……私のことを……心配してくれているの?)
(ずっと……ずっと一緒にいるって誓ったからね。以前は、失敗もしてしまったけれど……今回は、先に裏切ってしまった。だからこそ、今度は一緒に……ずっと一緒に)
その声の裏にある感情が、先程の心配をしてくれる気持ちから懺悔と悲しみによって塗り替えられていく。
(……!?)
その感情に共感した途端、ある記憶が頭の中に流れ込んでくる。
そこには、自分が人間の女性と対峙している姿が見えた。
(こ……これは……わたし?)
驚く盾の創造者に、剣の創造者の感情はまた切り替えられ、安堵したような感情に染められていった。
(よかった……記憶が戻ってきたようだね……そう、それは一つ前の存在だったときに起こった出来事だ)
自分の頭の中に浮かんだものが、どうやら相手に見えているようだった。だが、それに対しても特別に何らかの感情を感じることは無い。むしろ、自分のことを判ってくれている者がいることの方が、安心できル程だった。
そこから次第に自分が起こしたと思われる記憶が、頭の中に流れ込んでくる。
それらは、自分が起こしたことだとは信じられないような内容だった。
だが、拒否をしても流し込まされる記憶は、自分ではないと否定することのできなかった。
(……なんて……酷いことを……それに、あなたと……対峙してしまうなんて)
(それは、仕方が無かった……と思っている。その前に犯した、自分の罰でもあったんだから)
(いいえ、あなたは悪くはないわ……それに、あれは仕方が無かったことなのよ。私たちだって全てにおいて万能ではないわ……それは前にもわかっていたはずでしょ?)
その言葉に剣の創造者は、すでに盾の創造者の記憶が復元され、自分が知る存在であることを確信した。
そして、そのことを喜び、また次の世界へと向かう決心がついた。
(あぁ……そうだな。また、同じ過ちを繰り返すかもしれない……だが、それは私たちに課せられた宿命でもあるのだろうな)
(えぇ、前もその前もこの気持ちを忘れてしまっていたのだもの……できれば忘れたくないのだけれど……ね)
お互いの存在を認識すると、その空間にも相手の姿が浮かび上がってきた。それと同時に、お互いの名も思い出し、そこには笑顔が浮かんでいた。
「それでは……そろそろ、行こうか。”イザナミ”よ」
「はい、あなた……」
そうして二人は、次の世界へと旅立っていった。




