6-450 決戦22
サヤは再び、視線を盾の創造者へと移す。
そこに浮かび上がる表情は、何かを悟られたくないために取り繕うような表情を見せていた。
「……そういうことね、ハルナよくやったよ。で、こいつら助けられそう?」
「うん……今度こそちゃんとやるから!」
「よし、それじゃ……反撃と行こうか!?」
『……また、厄介な能力を手にしたようね?でも、それだけじゃ私を止めることは出来ないわよ?』
その言葉の後、すぐに盾の創造者は小さな人型を掴みハルナに向かって投げつけた。。
小さな人型は先ほどのゆったりとした放物線を描く軌道とは異なり、真っすぐにある程度の速度を保ちながら一直線に向かってくる。
「……っ!」
近寄ってくる小さな存在が、内部から膨れ上がる姿が見える。その顔は膨れ上がっているためか、それともこれから自分の身に何が起こるのかわかっているためか。
ハルナは暴走しかけている精霊の核を探し、急いで膨れ上がっていく元素を抜いていく。
「よっ……と!」
サヤはハルナに向かってきた小さな存在を胸で受け止め、膨張していないことを確認した。
小さな存在を地面に置いてあげると、不均衡の表情の瞳が安心したような感情が見てとれた。
その自分の意思で行動することのできない、小さな存在が見せる唯一の自我を表現を、サヤはホッとすると同時にその不自由さを押し付ける元凶の存在に対しさらなる怒りを覚える。
盾の創造者は、自分が起こした行動の結果に対し、相手の見せた妨害に何の反応も見せなかった。
その反応は先ほど見た結果とは同じものだが、受けた印象はいままでのそれとは異なり、納得したような表情を浮かべていた。
『そう……それじゃあ、こういうのはどうかしら?』
ハルナたちが、一つの危機を超えて安心しているところに、盾の創造者は先ほどと同じように小さな存在を再びハルナたちに放ってくる。
だが、先程と異なるのは、一体を投げたあとにもう一体を時間差で送り込んできた。
「え?……あ!?」
ハルナは、二体がほぼ同時にこちらに向かってきたことにより、どちらを先に対処するべきか迷ってしまった。
「ハルナ!最初の方を!!」
「――!!」
そう指示されたハルナは、初めに飛んできた個体の精霊の核から膨れ上がっていく元素を資源へと還元させていく。遅れてくる方の個体は、指示したサヤが何とかするものだと思いそのまま信頼して任せる形にした。
――ドン!
しかし、その結果はハルナが予測していない結果となっていた。
指示のあった方はハルナが対処したが、もう一つはサヤが行った”攻撃”により爆発してしまった。
「……サヤちゃん。どうして?」
ハルナは思わず、サヤに声をかけた。
確かに自分一人では、対処できなかったことは確かであったが、あれほどサヤが何とかしようとしていた存在に対し、撃墜するという乱暴な方法で防御することにサヤの行動の原因を知りたかった。
「……悪いけど、失敗した。でもアンタも二つ同時には対処できなかっただろ?でも……それは決して無駄じゃないんだ」
そういって、サヤはハルナに次の指示を出した。




