6-421 決戦14
「……ぐっ!?」
地面に押さえつけられた頬に、小さな石が当たっている。
それが肌に押し付けられて痛みを感じているが、小さな人型の存在ではあるが押さえつけるその力はサヤの首の筋力ではどうやっても抗うことができなかった。
頬に押し付けられている痛みも次第に慣れていき、どうしても拘束を振りほどくことができないサヤは、諦めて目を閉じた。
(こいつらを助けてやるって……約束したのに……悪いことしたねぇ)
サヤは盾の創造者が、別れの挨拶を聞き目を閉じてそんなことを考えながらこれから襲う衝撃を待っていた。
(……ハルナ、後は頼んだ……よ)
そうしてサヤは、永きに渡り存在し続けたこの世界での時間が終ってしまうことを覚悟した。
(……)
が、サヤの頭に懐かしい声が聞こえてきた。
『お母様……しっかりしてください』
『こんなやつに負けるなんて、お母様らしくありません!』
「ったく、アイツら……勝手なこと言いやがって」
『……え?何を……あっ!?』
サヤは盾の創造者の一瞬の隙をついて、頬に当たっている小さな小石に自分の身を転送させた。
サヤの身体が消えかける状態を見て盾の創造者は掴んでいた手足が空になっていく小さな人型を一気に爆発させた。
『――ヤさ――っ!!』
サヤの四肢を拘束していた四体の人型が、全て同時に爆発した。
その音で、ラファエルの叫び声は、自分の耳にも聞こえなかった。
大きな爆発によって、草や石が土の煙の中に散らばり、サヤがどうなってしまったのかも確認することができない。
ラファエルは、少しだけ風を送りこの場の土の煙を吹き流した。
サヤがいたその場に、草が吹き飛び土がえぐれた四つの爆発の跡が残っている。その跡は円のような形が残っており、それがサヤの胴体の部分まで円が重なっていた。
そこにはサヤの痕跡はなく、あのような威力の爆発ではきっとその身が消えてしまったのではないかと考えた。
しかし、できればあの転送がまにあっていて欲しいという思いもあったが、何を元にしたのか判らないが、その存在まで破壊されてしまっていてはサヤ自身の身も。
そして視線を盾の創造者に移すと、その視線もまたサヤの存在を探しているように見え周囲を警戒していた。
「……イテテテっ。何とか助かったわ」
『サヤさま!!よくぞご無事で……』
『よく間に合ったものね……そういうところ感心するわよ?でも……無傷とはいかなかったみたいね』
サヤの身体はボロボロになっていた、小さな石の中に逃げ込んだが爆発の衝撃は石の中にまで伝わってきていた。その衝撃によって、小さな石は割れかけていたがその直前でサヤは石から飛び出した。もしも割れてしまっていれば、あの空間からは出てくることは不可能だった。
更に運がよかったのは、状況を確認するためにラファエルが作りだした風によってその石は吹き飛ばされ、うまく盾の創造者から距離を離すことができた。
「……とはいえ、状況は未だこちらが不利なんだけどね」
離れた場所から見渡すこの状況の中サヤは、今だ横たわっているハルナの姿を注視する。




