6-437 決戦9
『”裏切った”……ですって?そんなことありえないわ?今でも、繋がっているのを感じているのですよ?』
「……それは、この”剣”のせいだよ」
『……え?』
サヤは、再び剣の柄を握った拳で数回打ち付け、剣の創造者が存在していた剣を意識させた。
「この剣は、どうやら、アイツの能力が一部付与されたままになってるんだ。ほとんどはアタシとハルナに渡されてたんだけど、自分が持つ属性とかはずっと身を隠していたせいもあってか、この剣に浸透していたみたいなんだよね」
盾の創造者は、サヤが言うことに何のことを言っているのか理解できていなかったが、剣の創造者の能力が宿っているというのは信じたくはないが理解できていた。
そうでなければ、いま自分はサヤに対しあの人型たちを寄せて消し去ろうとしたが、周囲にいる人型は動く気配がまるでなかった。
「……こそれと、これまでアイツが調べてきたこの世界の”理”のメモが入っていたんだ。……さっき気絶させられた時に気付いたんだけどさ」
サヤは、剣が刺さったままの盾の創造者に向かって自分が得た情報の話しを続ける。
その内容にはこれまでの一連の問題において、全て盾の創造者が絡んでいたのではないかという推理を告げた。
「ここからは、アイツが残していた情報から推理したんだけど……アンタのことに気づいてたんだろうね、カメリアってヤツは……この世界の理ってやつにさ」
『……』
カメリアは、魔物討伐における不運な事故によって、この世界から姿を消してしまった。
カメリアは元々精霊使いとなってから、この世界の中で亜人が使用する魔法や精霊使いの元素の扱いについて興味を持っていた。それまでは、精霊使いとなりその能力の扱い方を訓練することについては、王国内でも学術的に研究が行われてきたのは、アーテリアが管理をしている施設が建設されたことからも判っている。
カメリアが興味を持ったのは、その仕組みについてだった。
魔法については魔法の術式を用いて、その中に魔素を流すことによって発動するということを知った時、自分たちが扱う元素について興味を持った。
そこからカメリアは、この世界のなかで既に存在する自然など、元素との関りなどを調べることに力を入れていた。
だが、それは途中で中断させられることになる。
「――カメリア・スプレイズ。其方は、王選への参加が決定した」
そこから、カメリアはアーテリアと共にエストリオについて王選を回っていくことになる。
最終的には、勝利目前でエストリオは王になることを取りやめた。自分には向いていないということが一番の理由だったが、アーテリアがこの王国を影から支えたいということと、カメリアも中断された研究を続けていきたいと聞き、王になったとしても自分の隣についてくれるものがいなかったのが決定的だった。
こうしてグレイネスが王となり、エストリオは王族から自ら外れてアーテリアと一緒になった。
カメリアは、結婚よりも研究が続けたいとのことで、エストリオもアーテリアもその協力をしていくことを約束した。




