6-430 決戦2
『でもね……これで条件が同じだと思っているのかしら?』
盾の創造者は完全に元の形状を取り戻し、一番損傷の酷かった左手の指を曲げ伸ばししながら動きを確認をしてそう告げる。
「……どういう意味?」
サヤは、これまで自分が得た新たな能力をここまで活用し、こちらからみれば盾の創造者を徐々に追い詰めているようにもとれた。
相手は、こちらの攻撃や作戦がまるで効いていないかのような反応を見せている。ここまで用意をして仕掛けた攻撃が効いていないとなると、これから先の作戦にも影響が出てしまうため、サヤはその言葉の真意を探るために簡単に質問を返した。
『あなたは、あの存在から能力を受けてそんなに時間が経っていないでしょ?私は、この能力はこの世界が創造されるときから使っているのよ?私はあなたよりも、上手に使えるの……その能力の検証もしないで私の前に出てきたみたいだけど、そんなことで私に敵うと思ってるのかしら?』
「……」
どうやら盾の創造者は、これだけのことをしても自分のことを下に見ていると判断する。
ただ、今はその言葉にどのように反応をしてみせても、盾の創造者は自分に大きな実害がない限りはサヤたちに対してこのような態度を取り続けるだろう。
サヤはこのまま、黙って盾の創造者の言葉を引き出した。
『……それにニンゲンのような存在が、私たちと同じ能力を問題なく扱えると思って?例えあなたが通常の人間よりも長い時間を生きて来たとしても、あなたはこの力を持っていなかった……だから私たちに敵うはずがないの。そう……私に勝てるはずなんてないのよ!?』
「……ぷっ!」
サヤは、感情のままに溢れる感情を必死に止めようとしたが、それを我慢することができずに思わず吹き出してしまった。
『な……なんなの?何がおかしいの!?』
当然その反応に対し、盾の創造者は自分の言葉がバカにされたような態度を見せられたため苛立ってしまう。これほどまでに自分を馬鹿にしてきた者は見たことがなく、盾の創造者が抱いた感情は目の前の存在を確実に処罰するに値するものだった。
「あぁ、悪い悪い。でも、その……なんだ。ただビビッてただけだったのか……はぁ、警戒して損した」
『……え?』
サヤが何を言ったのか、すぐには理解できなかった。
ビビッてという言葉の意味は分からないが、脅しをかけていた自分の言葉が全く通じてない上にさらに馬鹿にされたということは理解できていた。
そんな態度みて、サヤはどうしてその理由を告げた。
「結局、アンタの言いたいことは”こう”だろ?……”アンタはアタシより長くこの能力を使ってる、だからアンタの方が上手な使い方ができるからアタシには負けない!”ってことだろ?」
『そ……そうよ。だ、だから何!?』
「なら、ただ”長く使ってる”ってだけじゃない?そんなのはこういう時には、意味がないんだよね?いかに自分の力を把握してそれらを上手に使いこなせるかが重要なんじゃない?使っている時間じゃないっていうのは、そういうことだよ」
『……そう。なら、こういうのはどうかしら?』
小さい人型の兵士が無数に表れ、盾の創造者の周囲を埋め尽くした。




