6-429 決戦1
――ボッ!
盾の創造者は、サヤとハルナに向かって高濃度の元素の塊を放つ。
何一つ身動きもせずに放つことで、油断したところに攻撃を加えた。
ただ、これは宣戦布告の挨拶のようなもので、二人は避けることもせずにまた放った攻撃が今までの通りに、直前で雲散してしまうのだと予測していた。
「……よっ!」
「……えいっ!」
サヤは身を交わしてギリギリで避けて見せて、ハルナは光の属性を混ぜた石の壁を作りそれを防いだ。
(……!?)
盾の創造者は、予測が外れたことに対し自分の考えを修正すべきか検討を始めようとした。
――!
それと同時に、反撃が二人から同時に放たれ、その時間を与えないようにするためだと判断した。
(こ……これは!?)
今まであれば、これまでと同じように無意味な攻撃を嘲笑うかのように、余裕の態度で攻撃が無効化されるのを待つだけでよかった。
だが、直前のハルナたちの行動と、これまでの自分の思い通りにいかなかったことを考えると今まで通りにはいかないはずだと気が付く。
盾の創造者は、左右から迫ってくるハルナとサヤの攻撃に、両手の掌をむけて攻撃に対して防御行動をとった。
『――ぐっ!?』
今まで通りに避けてくれることを期待したが、結果はよくない方向へと流れていった。
ほぼ同時に着弾した二人の攻撃は、初めて物理的な攻撃以外のダメージを負っていた。左手にはサヤからの攻撃を受け、その手にあった中指の一台に関節から上が消失しており、小指に至っては皮一枚でつながっており本来の形状を保っていなかった。
ハルナの攻撃を受けた右手はそのままの形は残っていたが、掌には穴が開いておりその先の体幹まで到達していた。
(……ちっ。やっぱり、少しずつ削っていかないとコイツは倒せないか)
サヤは、自分たちが仕掛けた攻撃の結果を見てそう判断した。
盾の創造者に対しダメージを与えてはいたが、時間が経つにつれて修復していく様子が見て取れた。
とはいえ、サヤとハルナはこの状況に失望していなかった。ハルナも事前にサヤから聞いていた作戦の一つを実行していただけだった。
『これ……これもあなたの仕業なのかしら?』
「あぁ、そうさ。お互いの資源を用いた攻撃の無効化は切らせてもらったよ?アタシたちも喰らう可能性はあるけど、それはアンタを倒すためには仕方がないことだからね。本当はこっちから攻撃を仕掛けて油断させた状態で攻撃を仕掛けたかったけど、アンタも勘がいいんだね。アタシたちの行動を見て、怪しいと思ったんだろ?」
盾の創造者は信じたくはなかったが、この現象に対して意図的に行われたことに不快感が増していく。こういった特別な行動がとれるのは自分かもう一人の創造者しかいないはずと。
『やはりそうなのね?これもあの存在から受け継いだ能力の一つなの?』
「そうだね……アンタは生物に関することに詳しくて、アイツはその箱であるこの世界について詳しかったんだろ?とはいえ、この能力に気付いていたかなではわからないけどね?」
もしも気付いていたなら、初めから無効化させていたに違いないことも告げた。
『厄介な存在に、厄介な能力を渡したものね……』
そう告げる盾の創造者の身体は、既に修復が完了していた。




