6-425 尋問
「と……その前に、一つ聞いていいかな?」
『え?……えぇ、何かしら?』
盾の創造者は、自分のほうが先にやり取りをしていたはずなのに、サヤからの質問が来たことに期待が裏切られたような感じがしていた。しかし、ここで不快感をあらわにしてしまうとサヤが機嫌を損ねてしまい、自分が知りえなかった能力について教えてくれなくなっては困るので従順に応じてみせた。
「アンタ、あっちの世界の渡ったたりしたじゃない?元々はこの世界は一つしかなかったはずなんだけど、どうしてその方法がわかったのさ?」
盾の創造者は、その能力を手に入れた経緯をサヤに包み隠すことなく説明する。
これは自分だけの特別な能力ではなく、剣の創造者の力を借りていたとはいえ既にサヤとハルナも同じことができている。
そのことからも隠すという選択肢はなく、それ以上にサヤの機嫌を損ねる方が危険と判断したためだった。
『あぁ、そのことだったら……あの時、オスロガルムが倒された後、気が付くと私も盾を身に付けていたハルナと一緒にもう一つの世界へと飛ばされていたのです。そして、その時に、同時にその能力が生み出されたことに気付いたのです』
「あぁ、やっぱり……アイツの考えてたことは正しかったんだ」
『……”正しかった”?何のこと?』
「アンタがハルナを乗っ取ったあと、アイツから聞いたんだよ。ずっと教えてくれなかったんだけど、ようやく話してくれたんだ」
オスロガルムが倒された後、この世界には莫大な資源が溢れて不安定となった。
そのため剣の創造者は、世界の崩壊を防ぐためにこの世界を複写し、もう一つ同じ世界を創り出すことにした。世界の箱については問題なくできたが、生き物たちについては一部情報を誤ってコピーしてしまったために、この世界の記憶や生い立ちなどが誤って複写されていたという。
『それはそうでしょうね……あの者はそこまで生物の創造には詳しくなかったはずです。私ならば完全に同じものを複製で来たでしょうけどね?』
「……そうかな?アンタの能力もアイツは使えるようになっていた。だからこそ、生き物たちも一緒に複製できたんじゃない?失敗はしたけど」
『……!!』
「アイツが気付いたのはそれだけじゃなくって、アンタたちの能力は実は”つながっている”んだって。だからどっちかが新しい能力取得したなら、自然と相手方にもその能力が仕えるんだってさ?でも、その精度とかは練習が必要になるって言ってたかなぁ」
『え?……あぁっ!』
盾の創造者は自分の能力を調べてみると、確かに気付いていなかっただけで知らない能力が増えていたことに気付いた。
だが、サヤが先ほど自分に仕掛けたものはなかったようだ。
「だから、これに気付けばアンタも”アタシの記憶を改竄”するような大掛かりなことしなくても良かったし、アンタもアイツも消えることにならなくて済んだのかもね」
『フフフ……そうかもね。だけど、もうあの者は戻ることは無い……ここまで来たらあなた達という存在が危険なのだから、こちらとしても今後の世界のためには排除させてもらうわ……さぁ、あなたの質問には答えたわ?私にも教えて頂戴?』




