6-408 決断の時
「……でも、それって……剣の創造者さんはどうなるんですか?」
『ふむ……そうだな……また別な場所から、お主たちのことを見守ることになるだろうよ』
「その言い方……ダメです!絶対にだめですよ!?」
「そんなことあるわけないだろ?……死んだらみんな無になるんだ、何もなくなるんだよ。何、弱い人間みたいなこと言ってんだ?どこで覚えたか知らないけどさぁ!」
その言葉に剣の創造者は、少し嬉しい気持ちが沸き起こる。今まで使う機会のなかった、人間から覚えた表現をこうして使うことができた。しかもその言葉が、サヤとハルナに通じ、剣の創造者はもう思い残すことが無いと二人に告げる。
「……サヤちゃん、ラファエルさん。どうにかならないんですか!?」
ハルナの必死の呼びかけに対し、ラファエルは自分のできる範囲をゆうに超えている。そのため、ハルナから求められたとしてもどうにもすることができない。
ラファエルはサヤに、自分ではどうにもできないと問題を託した。
サヤはそんな二人に呆れながら、自分の考えを述べた。
「確かに……アンタの言う通りだよ。それに、アタシの考えだけどこれをやることに、意味はあると思うんだ」
「さ、サヤちゃん!?」
「アタシだって……そうだね、できる事ならやりたくはないんだよ。もしこの空間から出た後に、大きな味方が減ることにもなるんだ。だけど、このままアイツに時間を与えると、本当に逃げ出せなくなる可能性だってあるんだ」
『……そのとおりだ、サヤよ。今はお主たちがここから出られる方法を最優先で考えるべきなのだ』
「……だ、だけど剣の創造者さんが犠牲にならない方法だって!!」
『待つのだ、ハルナ。お主の言いたいことは……その嬉しいと思う。こんな私を心配してくれてのことだろうからな。だが、いまは私もお主たちのことが心配なのだ……何の関係の無いお主たちを、こんなところで終わらせるにはいけない。それは、私が許せないのだ。わかってくれ……ハルナよ。時間はそんなにはないはずだ。それに私がいても、私自身ではあの存在に手出しはできないのだ。結局は私以外の他の者でなければ、あの存在を止めることは出来ない』
『ハルナ様……このお方のおっしゃる通りです。後は私たちがその意思を受け継ぎ、この世界を守るしかないのでは?』
「ラファエルさん……」
「そういうことだよ……ハルナ。アンタもそろそろ、腹を決めなって。これ以上時間をかけたら、本当に取り返しがつかないことになりかねないんだからさ。ここが”決断の時”ってやつだよ」
サヤとラファエルに諭されて、今の自分たちが置かれている立場についてようやく直視することができた。そして、ようやくハルナ自身も剣の創造者の決意を受け入れた。
『……ありがとう、お前たち。後のことは任せたぞ……サヤ、やり方はわかるな?』
「あぁ……さんざん練習したからね。とはいえ、こんな環境でやるとは想像してなかったけどさ」
『大丈夫だ……サヤなら問題ない。それでは――行くぞ』




