6-407 この世の理
「……え?」
ハルナは、盾の創造者からの説明に言葉を失っていた。
その感情には、自分が思い描いてた内容よりもさらに状況が悪い方へと流れていく内容だった。
この空間は、どのような場所に創られているか分からない。そのため、この空間の解除は困難だと剣の創造者は指摘した。
過去、サヤが盾の創造者が同じようにボーキンやマギーたちを取り込んだ時に、それを解除して自分が用意した空間へと逃がしたことがあった。その際に自分が破られたことに対し、サヤが仕掛けた方法を解除できなかったことを反省し、盾の創造者は今回創り出した空間の”本体”を悟らせないようにしたのだと言った。
今回はどこのかもわからない場所に閉じ込めらているかわからない状態で、悠長にその解決方法を探ることもできない。そこで、剣の創造者はこの空間を壊すことを提案した。
ハルナはその方法に賛同し、具体的にどのようにすればよいかを尋ねた。
その質問に対して答えたのは、サヤだった。
「……この空間を壊すには、内側から膨大な量のエネルギーを放出すれば壊れるはずなんだ」
「だったら、私とサヤちゃん……ラファエルさんにも協力してもらって一気に力を開放すればいいんじゃない!?」
これが答えだと言わんばかりに、ハルナは自信を持って発言する。それでもサヤは、そのハルナの言葉に怒るわけでも無く、ただその言葉を否定した。
「……だめなんだよ、それだけじゃ」
「ダメって……どういうこと?」
「確かにアタシもアンタも、この世界の存在では考えられない程の元素や魔素、全ての元となる資源を持っているよ。だけどね、それを放出するにしてもその手順ってのがあるんだよ」
「……?」
「アンタの友達のエレーナだっけ?アイツが新しい精霊使いのやつに教えてたのは資源から体内で精霊が元素に変えて、それを放出する方法を教えていたよね?それができるのは、あらかじめ”そういう風にできていた”からなんだよ。だいたい何もないところから生み出すことなんてできやしないだろ?この世界ができていく中で、その手順が創られていったってことなんだ」
「資源を元素に変えて……火や水を創り出すことが?」
「そう。たまたまそれを誰かが見つけただけなんだよ、きっとそれを見つけたのは東の王国の最初の二人だったよね?……ゲームの中でもレベルアップしたら魔法とかスキル使えるような感じだね?それってゲームシステム的に初めから用意されていたってことじゃない?ってことは、うちらがいくらそのルールに従って元素や魔素を大量に放出したとしてもこの空間には何の影響もないわけ。多分だけど、出した資源は、またこの空間の中で循環されるか、もしかしたら盾のヤツに取り込まれる可能性だってあるかもね」
ハルナはここでようやく、自分の能力は異常であるがそれもこの世界の理の中で行われていたことだと気付いた。
「だったら……どうやって壊すの?」
『……それはもう一人創造者がやろうとしていたように、一気に資源を暴発させこの世界を壊すのだ。私という存在を使ってな』




