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問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』  作者: 山口 犬
第二章 【西の王国】

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2-87 王子の助け



「ステイビル王子、キャスメル王子!……どうしてここに!?」


ハルナたち東の国の者にとっては、その登場に驚きを隠せない。

本来はこんな危険なところに居てはいけない人物なのだから。


「な……なぜ、こんな場所に?」


ルーシーも動揺を隠しきれず、王子たちにその理由を質問した。


「ふむ。聞けば何やら、私たちの精霊使いと警備兵が困っていると耳にしてな。その手助けにやってきたのだ」


ステイビルは、”何か問題でも?”といった感じでルーシーの言葉に返す。


「しかし、王子たちがいらっしゃったとしても状況は何一つ変わらないのです……」

「そうですか?私たちは、国としてではなく個人として手助けに来たのですよ。少しでも人手と”力”があった方がいいのではないですか?」


ルーシーの言葉に、次はキャスメルが答えた。


「時に、ドイルよ。その書簡の中に、撤退の命令はあったのか?」

「いいえ。撤退の連絡は何も……」

「ということは、作戦は継続中ということになるな。これはあくまでも”コボルト討伐作戦”の一環なのだ。我が国の範囲でできることと、その場にいた個人が出来ることやればよいのではないか?」

「まさか……あの”東の国として”ということは」

「そういうことでしょうね、ハルナ様」


メイヤが、ハルナの言葉に応えて安心させる。


「そうか……そういうことなのね」


エレーナは、一人頷いている。


「……どういうことですか?」


クリエはその意味が分からず、エレーナに問う。


「端的に言うなら、”国は関係ないけど、頑張りなさいよ”ってことよ」

「そうか……そうなのね。だから王子もこんなところまで」


ルーシーも、この状況を理解した様だ。


「そう、王子はその言葉通り助けに来てくれたのよ」

「そろそろ、我々の王選の準備もあるしな。ここらで、一緒に冒険をするのもいいんじゃないか?」

「あの……すみません。私たちにも、そちらの王子をご紹介頂けませんでしょうか?」


ニーナはこっそりと、邪魔にならない様に話しかけてきた。


「あ!ごめんなさい。あの、こちらが東の国の王子で、ステイビル王子とキャスメル王子です」


ハルナが、ニーナたちに紹介した。

それに返すように、ニーナも自己紹介をする。


「お初にお目にかかります、東の王子様。私、西の国の王女でニーナと申します。以後、お見知りおきを」

「ニーナ様、そんなに畏まらなくとも結構です。今回は単独で来ていますので普通にステイビル、キャスメルとお呼びください」


隣でキャスメルも頷いている。


「ご協力いただき、感謝します。ステイビル様」


ボーキンがステイビルたちの前で、跪いて感謝を告げた。


「それよりも、これからどのようにするおつもりでしょうか?」


キャスメルが、話を前に進める。

王子が加わることによって、国としてではないがこれから先に同盟の糸口がつかめたことになる。

それは今すぐでもなく、遠い未来でもない。

”次の王”が誕生する時には、早い段階で協力し合えることになるだろう。


「早速ですが私たちは西に戻り、今回のことを調査せねばなりません。あの者たちは、後からやってくる警備兵たちに山越えをさせます」


エルメトがそう告げる。


「では、その者と一緒に我らも西の国へ参る。その時はどこを訪ねていけばよい?」

「その際は、私を訪ねてくださればよいでしょう、王子……いや、ステイビル様」


ステイビルは、ボーキンの言葉を了承した。


「では、まず私とエルメトでゴーフたちを連れてまいります。ニーナ様はアーリスと一緒に、次の隊と一緒にお帰りください」


そう告げると、ボーキンはドイルに頼みゴーフの開放をお願いした。

併せてエルメトの山越えの準備が整い、ボーキンたちは山の中に入っていった。

今回は、ハルナたちは全員で行くことになった。

次の隊で、西の人物はこちらにはいなくなるので前回行かなかったアルベルトやアリルビートたちも行くことになった。

ドイルたち西の警備隊は何か起きた時のために、ここに留まることにした。

王国との連絡は一日一回、下の警備兵が入れ替わっているのでその時に伝達することになった。




そして、日が暮れる。

ニーナは、初めて東の国で泊まることになった。

その日の夜は、少し豪勢な食事が用意された。

そうなると、食事の席に出てくるのはアルコール。当然それを誰よりも先に要求したのは、エレーナだった。

しかも、ルーシーも実は飲むことが好きで、アリルビートも加わり一種の同盟のようなものが生まれていた。


「ハルナも久しぶりじゃないの?一緒に飲むわよ!」


(言えない……向こうで、ずっと飲んでたなんて……)


ひきつった笑顔でエレーナに合わせるハルナは、なんとかバレないことを祈った。

アーリスもニーナも一緒になり、この場を楽しんでいた。

ここで、状況が変化する。


「ハル姉ちゃん!あのコボルトが来るよ!」


フウカは姿を見せて、山の入り口の方へ向かっていった。

ハルナは、注がれていたグラスを置いてフウカの後を追いかけた。

エレーナも何かを感じ、ハルナの後を追った。


『ニンゲンよ、森の中で怪しい人影を見つけたので知らせに来た!』

「え?怪しい人って……どんな感じでした?」

『よく見えなかったが、あれは商人とか警備兵などとは違う感じの者たちだったぞ……』


コボルトの長によると、西から来た人物の数は二、三人だったようだ。

警備していたコボルトには被害がなかったが、確認しようにも普通ではない速さで移動しているため見失ってしまったとのことだ。


『とにかく、こちらに向かっているとのことで注意した方がよいと……』


――ドン!!


ハルナたちが拠点としていたテントの方から爆発音が聞こえた。

テントの向こうから煙が昇っている。


「アーリスさん!」


警備兵が、走ってアーリスのところまでやってきた。


「どうしました!?」

「西の襲撃者たちの檻が、爆発しました!」




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