6-395 再会
『……あ……あ!?』
盾の創造者の口からは、焦りと自分の想定外の出来事に対して、どちらも処理ができていない感情が口から漏れていた。
どれほどに拳で殴りつけても、ハルナの姿をした盾の創造者の顔が赤く腫れたり血がにじむようなことは無かった。しかしそのことを不思議に感じることなく、サヤはただ何度もその顔に対して拳を打ち付けていった。その行動の理由としてハルナの中から盾の創造者という存在を叩き出したいという思いもあったが、ただただ今までのうっ憤を晴らすという意味が強かった。
ともかく、サヤの攻撃は盾の創造者に対して大きな効果をみせた。
卵の殻のようにひび割れた皮膚からは、内側から血ではなく光が溢れ漏れている。
しかもその変化に一番驚いているのは、誰でもない盾の創造者自身だった。
その口から漏れる声は、予想外の出来事を前に止められない焦りが滲んでいる声色だった。
「――?」
必死にひび割れた顔に手をあて、ヒビがそれ以上大きくならないように必死に抑えている。
その様子は手を出さずとも、盾の創造者の思い通りになっていないため、サヤはただ黙って何が起こるのかを黙って見守っていた。
『が……あぁ!!!』
その叫び声と同時に、盾の創造者の顔から光が増して顔の形が崩れ落ちていく。
「眩……っ!?」
その様子を離れたところから見ていたローディアたちも、眩しさに目が開いていられない状態だった。
「――なにぃ!?」
サヤも用心のために自分の周りには薄い瘴気を纏っていたが、それらは一瞬にして弾ける光によって蒸発してしまっていた。
『ま、待て!?行くな!!!』
「……そんなこと聞けるわけないでしょ!?」
放たれた真っ白な光の世界の中、盾の創造者と聞き覚えのある声が聞こえてくる。
「……ったく。手間かけさせやがって」
「ごめん……サヤちゃん……でも」
「でも……なに?」
「痛くなかったけどさ、本気で殴り掛かってきてなかった!?」
「当たり前だろ!?こっちだって必死だったんだよ!!」
「そ、そうだよね!?ご……ごめん」
「……ったく。助けてやったのに、お礼の一つも言えないのか?」
「あ!ご、ごめんね!?ありがとう……って、本当にこれで助けられると思ったの?」
「……なんでそういうところは、勘がいいんだろうねぇ。アンタは」
「えっへへへ……っていうかやっぱりさっきのって!?」
二人のやり取りの最中の真っ白な世界にも、いよいよその光にも陰りが見える。
光の強さは徐々に収まっていき、その中心部には人の形をしたシルエットが見える。
その現れた人型の表情には笑顔が浮かび、それを見守る方にも同じ表情が浮かんでいた。
「……でも、ありがとう。サヤちゃん」
「あぁ。お帰り、”ハルナ”」
二人はお互いの無事を確認し合い、ホッとしていた。
『……逃がさない。逃がしはしないよ!ハルナ!!!』
盾の創造者は、ハルナの姿を保てない程にボロボロに砕けていった。
そこには、外側を失ったハルナに近い体系の存在が、二人に向かって怒りの感情をぶつけていた。




