6-363 サヤとハルナと15
サヤは剣に魔素を込めて、切っ先を盾の創造者……ハルナの顔面の鼻先に突きつける。
盾の創造者の視線は剣の切っ先を通り過ぎて、サヤの顔を睨みつけている。
「もう観念してハルナから離れたら?」
『い……一度つながってしまえば、離れることはかなわぬことは知っているでしょう?もう、私とハルナは離すことはできないのよ、残念ね!』
その言葉を聞きサヤは剣の高さを変えずに、追い詰めるために厳しかった表情が少し嬉しそうなものに変化する。
そして、次にこの言葉を出された時のために用意していた言葉をこのタイミングで口にした。
「それは……”条件付き”だろ?」
『――なっ!?』
「確かに、どちらからか一方的に引き離すことはできないよね?でも、お互いの同意があった場合はどうなんだっけか?」
『ど……どうしてそのことを!?』
「これは、ハルナから聞いてたんだよ。ちょっと精霊使いっていう職業に興味があってねぇ、その時に聞いてみたんだよ。契約した精霊たちが、どんな風な終わりを迎えるのか気になってね。精霊って人間としか契約しないだろ?だけど、その寿命は、人間よりも精霊の方が長いじゃない。そしたら、その精霊たちはどうなるかって聞いたみたんだよ……」
サヤはこの一件が始まってから、ハルナがこの世界で獲得した能力に対して興味があった。
その能力は、自分が苦しんで獲得した物とは違う別の体系の特殊な能力であり、二人が住んでいた世界にはなかった不思議な能力だった。
サヤがこの世界で見てきた不思議な能力は通常、エルフやドワーフなどにみられる魔法のように個人が獲得するようなタイプであり、本体の外部との契約によるこの能力は人間のサンプルを取り込んでもその事態を把握することはできずにいた。
そして自分の知人であるハルナがその能力を獲得したことを知り、オスロガルムの騒動以降行動を共にしている間に自分が知りたかったことをハルナに質問を繰り返していた。
幸いにして、ハルナもラファエルという精霊の上位の存在とエレーナという精霊使いの友人が有していた知識を得ることができた。
今回の指摘も、ハルナから聞いた内容から推測し剣の創造者とこの世界の仕組みについて教わっていた中からたどり着いた仮説だった。
「……そしたら、一度契約した繋がりはお互いの同意があれば、何のデメリットもなく離れることができるらしいじゃない?」
その話は、人間が精霊と契約をするために自分たちで研究をして集めた、ハルナがエレーナから教わった知識だった。
そしてその仮説は正しかったのだと、盾の創造者からの反応で知ることができた。
『――くっ!?人間どもめが!!』
「あらあら。どうやら、正解のようだね?なら、さっさとハルナの身体から出ていってくんないかな?」
サヤは剣の刃をハルナの肩の上に載せ、これを引けばいつでもその肉体に傷をつけることができる状態にした。盾の創造者も、自分が秘密にしていた事実を暴かれたことによって今の状況を阻むことができずこの場面をどう逃げ切るべきかを必死に探し出そうとしていた。




