6-348 暗闇の世界4
「きっと、サヤ殿は我々を守るためにこの世界へと移動させてくれたのだろう……それがどういう理由かわからないが、ハルナ殿とサヤ殿は敵対関係にあると思われる。で、あれば……この能力を使ったサヤ殿が敗れてしまった場合は……」
「待ってください、ボーキンさん!その考えもわかりますが、ハルナさんは私たちを助けるために一旦外の出してくれたのではないかと思うのです。ですからそのようなことは」
「待つんだ、アーリス。ハルナさんが我々の味方だというようになっているが、もしかするとハルナさんは敵側かもしれない。そうなるとサヤ殿とモイス様は我々を助けるためにこのような事になっているのかもしれない。だから、お前の考えも立場を変えれば……」
そこからボーキン、エルメト、アーリスの三人による現状の検証と起こりえる可能性についての検討が始まった。
だが、その話し合いもそれぞれの話しの根拠となるものが不確定なものばかりで、核心に迫るようなものは話し合いの中から出てくることはなかった。
そういったことに詳しくはないスィレンは、ただそのやりとりを黙って聞いていた。
ただ、マギーは不毛とも思えるやり取りの我慢ができなかった。
そして、その三人のやり取りを聞き飽きた頃に、その感情は爆発する。
「ったく。いつまでもいつまでもギャーギャーギャーギャーと、うるさいねぇ!」
三人の議論は、その声によってぴったりと止んでしまった。
マギーは、いつまでも頭の中に響く声が落ち着き、三人の意識がこちらへ向いたことを確認して続きを語る。
「あれやこれやと考えるのはいいけど、いつまで経っても終わらない話をするんじゃないよ!お酒の席ならまぁ許していただろうが、今はそういう時じゃないんだろ!?……確かに万が一の対策をたてる必要もわかるけど、ここは落ち着くべきじゃないのかい!?だって、私たちにはどうすることもできないんだろ?」
「……」
そう言われ、ボーキンたちは何も言い返せない。それと同時に先ほどまでの姿を思い出し、恥じる気持ちさえも出てくる。
その空気を変えてくれたのは、同じく議論をしていたアーリスだった。
「……マギーさんの仰る通りですね、すみませんでした。」
アーリスは今の状況を議論するよりも、どうすれば自分たちの身が助かるのかを考えるべきだったとつなげていく。
「む……確かのマギーさんのおっしゃる通りだった……な。ともかく今は、次にこの空間から出られた時の行動を決めよう」
こうして、ボーキンたちは次にこの空間から出られた際には、とりあえずお互いがそれぞれの方向へ逃げ出すことでそれぞれの身を守ることに決めた。できれば草むらの影に隠れ、発見され辛い状況へと身を隠すようにする。
それは、この空間に取り込む際に、ある一定の領域の範囲でしか取り込めないのではという意見からだった。
マギーとアーリスが初めにこの空間に連れてこられ、その後モイスによってボーキンたちも連れてこられた。そのことから、ある一定の範囲内でしか取り込めないのではないかと判断したためだった。
この取り決めを行った後、マギーから再び先ほどの続きを許され、ボーキンたちはまたサヤとハルナとの関係について議論を始めていった。




