6-340 新たな情報
「さて……これからどうしようかね?」
サヤの性格上、仕掛けることに関しては得意であった。
だが、相手の出方を伺いながら対策を立てるのは、イライラしてしまうためにまともな状況判断ができにくいと自分でもわかっている。
対策を考えるよりも、まずは自分の思考を落ち着かせることから始めているサヤに別の流れが訪れた。
「――し、失礼いたします!?」
「どうした?ガレム」
王のいる部屋に、息を切らせて入ってきた兵を注意することなく、アルベルトは自分の部下の報告を聞く。
「ガレム?アンタが!?」
見知らぬ女性から名を呼ばれたガレムは、一瞬だけサヤにその目線を合わせる。
だが、すぐに自分が持ち帰った情報を連絡しなければならないため、その失礼な女性のことは一旦保留にした。
「サヤ様は、ガレムをご存じなのですか?」
「ん?……あぁ、勘違いかもしれないねぇ。ゴメンゴメン」
そのサヤからの返答に、この場にいる者たちは悟った。ガレムは向こうの世界にも存在しており、その時に何か関わり合いがあったのだろうと。
だが、そのことは一部の者たち以外は秘密にしていることから考えても、これ以上のことはこの場で話すことではないと、ステイビルたちはサヤの返答をそのまま流すことにした。
そして、空気を読んで待っていたガレムに対し、アルベルトはその先を告げるように目で合図を送った。
「は!ディバイド山脈入口付近を警備中に、私の部隊が全滅したようです!」
「なん……だと?」
「何!?全滅?何があった!?」
アルベルトの言葉に続き、ステイビルがガレムに対して声をかけた。
ガレムとしては、当然ながら自分の上司であるアルベルトよりも国王からの質問に応じる方が優先順位が高いと判断し、始めて国王に対して言葉を返そうとした。
しかし、それをサヤの言葉止めた。
「”ようです”って言ったね?ちゃんと確認したんじゃないの!?」
アルベルトもその指摘が正しいことに気付き、部下の報告が正しく聞き取れていなかったことを反省しつつ、ガレムにその説明を刺せるように指示をだした。
「は、はい……実は」
そうしてガレムは、アルベルトたちに説明を始める。
ガレムの隊は、ディバイド山脈の入り口付近から山道の途中までの警備を任されていた。
いつものようにガレムは近くの拠点から、デバイド山脈の山道の途中までの警備を行った。
山道に入ると、途中で不思議な女性に出会ったといった。
「それで……その女性に、やられたのか?」
「いいえ!?そ、そうではございません!私は昨今の通達にあった”緊急時の対応”に従い、その場から逃走しました」
王国では、サヤからの忠告と周囲の探索の協力依頼があってから、何が起こるともわからない異例の緊急時には隊員の生命の危険を回避させるために”迷わず逃げろ”と通達をしていた。
ガレムは、そのことを忠実に守り実行をしていた。
「それでも……全滅とは。相手はよほど強敵だったのか?」
「い……いえ。全滅に関しては、私の推測なのです」
「――?」
ステイビルたちはガレムの説明に疑問を感じながら、気になることを頭に残しながらその続きを確認した。




