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問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』  作者: 山口 犬
第六章 【二つの世界】

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6-334 合格








ここ数日は、強めの雨が降っている。

東の王国にも、雨季が訪れていた。


城の屋上で、屋根がある場所で主の帰りを待つヴェスティーユ。


モイスは、大きな羽を数回羽ばたかせるが風は起こっていなかった。

そして背中に乗せたサヤに振動がなるべく伝わらないように静かに着地する。


サヤは背中から飛び降りると、傘を持ったヴェスティーユが近づいてくる。



「お帰りなさいませ、サヤ様。モイス様もご無事で何よりでございます」



そう言ってヴェスティーユは、周囲の探索から戻ってきたサヤを出迎える。

強い雨の中で濡れているであろうと、ヴェスティーユはサヤにタオルを用意していたが無駄に終わった。

モイスの能力によって、雨は全て避けられていたため濡れることはなかった。


それでも、用意してくれたタオルにサヤは手を伸ばした。



「ありがとう、助かるよ」



そう言ってサヤはそのタオルを頭から被り、そのまま自分の部屋に向かって歩き始めた。

ヴェスティーユは嬉しそうに、サヤの背中をついて歩きだす。




部屋に戻れば、ヴァスティーユが温かい飲み物を用意していた。



「あ、お帰りなさいませ!サヤ様、すぐお茶にされますか?」



「あぁ、頼むよ」





ヴェスティーユはサヤからローブを受け取り、部屋の奥へと仕舞いに行く。


そして、サヤはいつものソファーに腰を下ろして、その目の前に温かい飲み物が注がれていく。蒸気と共に昇ってくるお茶の甘くリンゴのような香りがサヤの心を潤していく。




サヤがこの世界に来て、二週間ほどが過ぎた。

その間、特に何の変化も見られず、毎日の偵察もいつもと変わらない風景に飽き飽きしてきたところだった。




(……そろそろ一回あっち戻ろうかね)


サヤは香りのよいお茶を口に含み、そう考えていた。

どちらの世界にも神々を配置させており、何か起きた場合はすぐにサヤに連絡が来るようになっていた。

だが、その神々はこの世界を超えることはできない。今そのことができるのは剣の創造者と繋がっているサヤだけのはず。


ハルナの身体を借りている盾の創造者も同じようなことができると考えると、どちらかの世界の情報しかリアルタイムに入ってくることがない。

だから、もう一つの世界の状況を確認するにはあちらの世界へと戻る必要があった。

世界を渡る際には、ある程度の魔素を利用すれば可能となる。

だが、ギリギリの状態で戻ると、移動した先で何か起きた際の対応が難しくなる。



サヤならば二週間程度もあれば、剣の創造者の力を借りて体内の魔素が充分に回復ができる。

いまはもう、その力が充分に備わっていた。



サヤは、カップを皿の上に置き、自分を見つめる二人を見る。



「悪いけど、ステイビルと面会したいんだけど……」



「はい、予定を組んでまいります」



ヴェスティーユは頭を下げて、その命令に従って部屋を出た。

そして、ステイビルからすぐに面会の時間を作ってもらいサヤと話をすることになった。




サヤは肩にモイスを乗せ、二人のメイドを連れてステイビルの部屋へと向かう。

ヴァスティーユが扉の前に立つと、入室の許可を伺う。

すぐに許可が下りると、その中にはサヤにヴァスティーユとヴェスティーユを推してくれたメイドが扉を開けた。

そして、サヤは案内されるがままに、ソファーに腰を下ろす。二人は、サヤのその後ろについて立っていた。




「あーステイビル。この二人”合格”だよ」


「畏まりました……おい、この二人は合格だ」





ステイビルのその言葉を聞いた、この部屋に待機しているメイドがステイビルの言葉に了承の意を示し、二人のメイドに対して微笑んだ。



「え?」


「は?」



二人は急な展開に何が何んなのかわからないまま、思わず言葉が漏れた。










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