表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』  作者: 山口 犬
第六章 【二つの世界】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1048/1278

6-275 ニーナとステイビル4









ステイビルは、ニーナから上がってきた自分に対する報告について驚愕した。

いや、驚愕ではなく、怒りの感情がほとんどを占めていた。

その内容は、最近ステイビルの表情が怖く、全ての反応においてメイドたちが恐怖を感じるほどの威圧的な態度で接していると不安の声が聞こえてきているという。







「私の態度が……気に食わないだと?」




「ステイビル様……そのように短絡的に物事を捉えるものではございません。その言葉の意味を探り……」




ステイビルはニーナの自分に対する指導とも取れる言葉に対して、自分の感情を含めその一部をニーナへとぶつけていった。





「うるさい!!!私が……私がどれだけ、この国のために考え苦労していると思っているのだ!?」




ステイビルは、ありったけの感情をニーナに対してぶつけた。

世界の崩壊という大きな問題がある中、最近乱れてきた王宮内の人的問題、それの起因となる元ではあるが西の王国の王女であるニーナの問題。

それに、この世界に戻ってきたハルナの態度……ステイビルの心中には自分の処理能力を超えるる問題が、解決の糸口を見つけることもできないまま次々と覆いかぶさってくる。

ステイビルは、処理をしきれない問題に対し、投げ出したい気持ちは心のどこかにあった。

しかし、そんなことをしては国が崩壊してしまうことにもなるし、国王としてその決断は決して行ってはならないものだった。

そのプレッシャーに押しつぶされそうなステイビルの心中は、既に自分自身が持つ限界を超えていた。

その感情を爆発させてしまうには、ほんの少しの衝撃だけでも容易な状態だった。







「……っ!?す、すまなかった……ニーナ」




ステイビルはすぐに、自分が感情的になってとった行動をニーナに詫びる、

その行動は、一国の王が部下に見せてはいけない行為だと気付き、それをぶつけてしまったニーナに対し詫びた。



ニーナは、ステイビルが抱えてきた理不尽とも思える感情を気にも留めていなった。

むしろ、ステイビルの心情を理解しているかのような表情を見せ、ステイビルからのお詫びを受け止めた。





「ステイビル様……」




ステイビルの感情を受け止めたニーナは、何事もなかったかのように静かにステイビルに近付いていく。

ステイビルも、そのニーナの行動を止めることもなくただ見守っていた。

それは先ほどの失態に対するお詫びのための黙認でなく、自分の疲弊した感情への理解に対しての期待を込めた結果として。




ニーナは静かに、ステイビルの傍へと近付いていく。

ステイビルの机のを横に逸れ、ステイビルを抱きしめられる程の距離の真横まで足を運んだ。

ステイビルは、自分の側面に来たニーナに向かうように椅子を回し、座った目線よりもやや上にある背の低いニーナの顔を見る。そしてニーナの次の行動を、ステイビルは静かに期待しながら見守った。





「……失礼します」



ニーナは、そう短く告げた。




――バチっ!




ニーナはやや強い力で、ステイビルの左右の頬をまだ完全に戻っていない痩せた両手で打ち付けるように挟み込んだ。











評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ