6-250 パートナー
衝撃の事実が公表をされ、盾の存在はステイビルの提案で”創造者”と名付けられた。
盾の存在も、『名前などどう呼んでもらっても構わない』と受け入れ、自身でもそのように認識するようになった。
さらには、創造者がその権威を証明するためにするために、とある存在をこの場に呼び寄せた。
「ら……ファラエル様!?」
その姿を見た瞬間、ステイビルの中でこの創造者という存在が、本物か偽物かの見極めの答えが確定した。
『この者も私が創り出した存在の一つです。この世界の秩序を守らせるためにある程度の能力を付与しておりますが、あなた達に害を加えるようなことはさせていません』
その言葉が正しいと思うのは、ステイビルが歴代の王から即位の際に伝えられてきた言葉の中にあった。
”この国がどのような状態が事態になっても、神々は決して我々が起こした争いに対して手を貸すことはない”――と。
そのことは正しいという側面もあったが、ヴェスティーユがモイスティアを襲撃した際に、ラファエルは力を貸してくれたことが頭に思い浮かんだ。
だがそれは、人間同士の争いではなく、最終的には世界崩壊を企む”サヤ”の行動を阻止するためであったと理解する。
それ以外には、大精霊や大竜神たちが人間や亜人たちの国や村を襲ったり、それらの種族間での争いをどうにかしたという話は、王国の歴史上でもステイビルは耳にしたことがなかった。
それらの情報とも突き合わせても、この創造者と言う存在が間違ったことを告げていないと今の時点では判断をしていた。
『ハルナ様……とうとう、このお方にたどり着いたのですね。やはりあなた様は特別な存在、この世界を変える方なのかもしれませんね』
「ラファエルさん……私そんな……」
『”そんな大した人物ではない”とでもおっしゃるのかしら?私たちの訓練もあんな短時間で終わらせてしまったあなた様は、この世界では決して”普通”ではございませんよ?』
「で、でもあれは……あの時は……フーちゃんがいた……から」
ハルナはフウカと言う大切だった存在の名を口にすることによって、今まで抑え堪えてきた悲しみが、ハルナの感情の中を満たしていく。
もう一つの世界に行った際に、フウカとの繋がりと存在は消えてしまっていた。
この世界に戻ってきたとわかったときも、真っ先にフウカの存在を確認したのだが、感じられることはなかった。
このことはエレーナには黙っていた、もしかすると”精霊使い”という地位から外されてしまう可能性も考えられたため、怖くて口にすることができなかった。
『あぁ……今はハルナ様の精霊はいらっしゃらないのでしたね?』
「え!?……ど、どうして、それを!?」
フウカはラファエルを”先生”と呼び、精霊たちが還る場所であると認識はしていた。
だからこそ、その存在が消えたことに対して気付くのは当然だという思いもある。
しかし、本来ならば精霊を介して元素を取り込んでいるため、精霊がいないということも否定はできなかったのだが、ラファエルはいまハルナに精霊が付いていないと認めた。




