表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』  作者: 山口 犬
第六章 【二つの世界】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1002/1278

6-229 出迎え






「―――ハルナは、今どこに?」






一台の馬車が王宮に入ると、王宮内に緊張が走った。


こんなに早い帰還で、さらには一台だけで戻ってきたということは、グラキアラム攻略において何か大きな問題があったのかと、身構えながら馬車を出迎えた。




メイドたちが階段の段差を用意し、もう人のメイドが外から鍵を開け扉を開く。

ステイビルは焦る気持ちを抑えながら、ゆっくりと階段を降りていく。




周りにいる者たちは、自らの国王に異変がないことを確かめ、ひとまずホッとする。



ステイビルはそのまま、探していた人物の一人を見付けて、その人物の近くに歩いていく。

目的の人物は馬車から離れた、列の奥側に立っていた。

突然の帰還に、急遽ここに集まってきたためだと判断した。

ステイビルは、その人物の前で立ち止まり声をかけた。






「マーホンよ……ハルナは、今どこに?」




「おかえりなさいませ、ステイビル様」





マーホンが頭を下げながら、深くお辞儀をして王を出迎える。




(さて、どうしようかしら……)



マーホンがステイビルの質問に対し、どのように答えることでこの場を切り抜けることができるか、そう考えているうちにもう一人の味方がこの場に現れた。




「……ステイビル様。そんなに急いでいては、ハルナ様とのお話もうまくいきませんよ?状況を確認してまいりますので、まずはお部屋の方へ」




「う……ん?確かにそうだな。では、ハルナを私のところまでお願いしてもいいか?エレーナ」




エレーナはその言葉に承諾の意を示し、胸に手を当てお辞儀をする。

その返答を受けたステイビルは、身体の向きを変え城の中へと入っていった。




「エレーナさん……一体なにが起きたのですか?グラキアラムは?……それに、アルベルト様は?」



「マーホン……そのことは一旦、部屋に戻ってからにしましょ?とにかくハルナのところ……いるの?」



「は、はい。ハルナ様は、ご自身の部屋におられます……参りましょう」







――コンコン




扉をノックすると、中から聞き慣れたいつもの明るい声で入室を許可する声が聞こえてきた。


エレーナはその声に一瞬、今の状況を忘れてしまう。

まだ王選の旅の中にいて、今のような地位による縛りなどもなく、王子を含めた周りにいる者たちが”友人”のように思えていたあの頃のような感覚に包まれていた。




――カチャ



マーホンがハルナの声に応じて、扉を開けて中に入っていく。

そして、後ろで待っていたエレーナも入室を促された。



ハルナはエレーナを見つけると、近くまで寄ってきて心配そうな顔をした。




「エレーナ、何かあったの?ステイビルさんの身に何か起きたの!?」



「ねぇ……ハルナ。その心配は……どんな気持ちからなの?」



「……え?」




突然の質問に、ハルナはエレーナが何を言っているのか判らなかった。

ここはどう答えるべきかと、その質問の意味を探るために困惑しているハルナの顔を見ると、自分の質問がこの場に合っていない、軽率で愚かな質問であったことを後悔する。




「申し訳ありません……ハルナ……さ……ま」



「ちょっと……エレーナ!?いいって!!ちょっとよくわからなかったけど……とにかくこっち来て坐りましょ?あ、ソフィーネさん、お茶をお願いします!」



そういって、ハルナは泣きそうな顔をしているエレーナの袖を引っ張って椅子まで案内した。

ソフィーネは気が落ち着く茶葉を用意し、ポットにお湯を注ぐと部屋中に心地よい香りが広がっていった。











評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ