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9・俺、領主になる?

 現在の規模は既に8隻になる。少ないように見えるが、8隻が一定の間隔を開けて錨泊するといくら大きな湾であっても邪魔になる。

 確かに俺達が外海で暴れまわるクラーケンや魔船を掃討しているとは言え、多くの人にとってはこの湾が生活の場なのだ。


「あんたら、大陸間航路のどの辺まで行けるんだい?」


 今日も組合でその様なことを聞かれた。

 俺は地図を広げて今一通り掃討を行ったエリアを示す。


「この辺りまでですね。皆さんが安心して航行可能となると沿岸部に限られます。漁を行うのであれば、青葉隊の警戒範囲は可能だと思います」


 オッサンが腕組みして地図を見る。


「もう、オヤモッテ諸島まで行けるのか?」


「我々の護衛付なら」


「そうか。あそこも昔は人が住んでいたが、魔物が増えてからは住めなくなった。もし行来出来るなら戻りたいという連中も居るんだかな」


 オッサンはそう言って考え込んでいた。

 魔物が増えたのはこの20年程度と言うのは聞いていた。ただ、理由は未だに不明だ。

 20年前までは大陸間航路も華やかだったがクラーケンが爆発的に増えて商船の多くが犠牲になった。魔船が出現するようになったのはそれ以後だそうで、予想通り、沈没船が何らかの形で魔物と共に浮上したと見てよいらしい。


「なら、この諸島がすめるところかどうか見てきましょうか?」


「それは有り難いが、うちの組合は生憎と資金が漁業かお前さんの持ち込む宝石しかない。依頼料を弾む余裕もなぁ~」


 オッサンはそう嘆いている。仕方もない。陸のギルドならば多数の加盟者もいるし、魔物や宝石の取引益もデカイが、海でクラーケンと渡り合うのはガレオン船に弓や槍と魔法では無理がある。これまで幾多の冒険者が挑戦したが、海に消えるか、なかなか成果を出せなかったそうだ。魔船ともなると逃げる方が良い始末だった。まだこの世界に海軍はないし、水軍的な武力集団は、冒険者として散っていくかオカにあがる道を選んだ。この10年程度は博打的な商船がたまに生還する程度にまで寂れている。


「なら、この島の港の使用権を私達に譲るのはどう?」


 金剛がそう尋ねる。



「そういうので良いなら、諸島ごとどうだ?どうせ魔物が蔓延って領主さまが放棄宣言した諸島だ。海を取り戻したあんたらが手にいれても誰も文句はないだろう」


「じゃあ、冒険に行こうか、ダーリン」


 金剛はオッサンから依頼書をしっかり受け取ってから組合を後にした。


「組合長からしたら私達は邪魔だからね。そろそろ何処か別の泊地を見つけて欲しいと思ってるよ。どう?あの諸島の湾内は静かそうだし、20隻くらい碇泊させるにも十分な広さだよ」


 金剛は艦に戻るなりそんな話をはじめた。


「確かに、あそこなら」


 俺も思わないでもなかった。主島ですら標高は50メートル程度で殆ど平ら。他の島々と言えば岩質だったり砂が集まっただけで海面から10メートルない程度でしかない。こんなところに植物があるだけで不思議に思う。


「じゃ、いざ出発」


 金剛は元気に宣言した。


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