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8・求む統制者

「ヤッホー」


「よ~し」


 とにかくウルサイ。そして、暴れまわる。島風、旗風が来て1ヶ月が過ぎた。

 まだ大陸間航路全ての掃討は流石に難しいが、アバチャウン周囲の安全は保障できるところまで来た。

とは言え、哨戒域外はいつクラーケンや魔船が現れるか分からないから手放しで喜ぶわけにもいかない。


「アレを統制できる指揮官居ないとそろそろ困るな」


 俺は島風が暴れているのを見ながら呟く。


「他人事だなぁ~、指揮官は君だよ?」


 金剛も言葉のわりに他人事である。

 この1ヶ月なにもしなかった訳ではない。俺も金剛も首輪を付けようと頑張ったよ?俺は1週間、金剛は2週間ほど。だが、無理だった。返事は良いが、返事のみだった。


「さ~て、今日はどのくらい持つかなぁ~」


 そう言って金剛は俺を抱きしめる。

 嫌ではない。が、こうやって明らかに鬱憤晴らしに使われているのはどうなんだろうね。今も耳に息を吹き掛けている。が、それがいきなり止んだ。


「金剛より全艦、4万に船影、魔物と識別。数は10。6ノットでこちらに向かっている。敵が進路を維持すれば左1万を通過見込み」


 金剛が前方を睨んでそう伝達した。


「りょ~かいっ、島風、左水雷戦いっきま~す。旗風も!」


「・・・旗風、向かいます」


 旗風がタメ息混じりに伝えてくる。2隻が加速していく。


「周囲にクラーケンが居るかもしれない。気を付けろ」


「は~い」


 島風は軽い返事だけを返して敵との距離を詰めていく。


「あれ?もう、魚雷射出した?」


 加速していた2隻はまだ双眼鏡でハッキリわかる距離で魚雷を射出した。島風12射線、旗風8射線。20本の61センチ酸素魚雷が魔船団に向かう。


「遠距離雷撃なんて殆ど当たらないんじゃない?」

 

 俺の問いに金剛は頷く。


「金剛さんたちは進路、速度そのまま、ヨーソロー」

 島風から軽い通信が入った。


「進路変更されたくないからこちらも動かないようにか。島風らしいね」


 金剛は主砲を旋回させながら俺を見る。


「何本当たると思う?」


 金剛は魔船を凝視しながら聞いてくる。


「2、3本は当ててくれるかな」


「分かった。今日は抜かずを2回ね」


 何の話をしてるんですかね、金剛さん。


「3本なら3回」


 いや、それは・・・


 そうこうしてる間に水柱が1つ。


「あ~あ、抜かずは1回だね。ちゃんと感じさせてよ、ダーリン♪」


 それを合図に金剛は主砲を発射した。そして、右へ船体を旋回させる。程なく第二斉射。

 水柱が4本、次は8本上がる。


「島風、いっきま~す」


 島風、旗風も魔船との距離を詰めていくが、すぐに金剛の第三斉射で獲物は居なくなった。


「島風、旗風、掃討よろしく」


 金剛はシレッと2隻に指示して俺に舌を出して微笑んだ。こんな子供っぽいところもあるから良いんだよな。


 島風、旗風の2隻は気にすることもなく軽い返事と共に掃討を開始する。


「し~ま~か~ぜ~!!」


「うわ、ごめんなさい、青葉さん」


「こちら旗風、当該海域に新たな顕現艦を確認しました。我々と同じ世界の巡洋艦青葉さんです」


 旗風は2隻から少し距離を取りながらこちらに報告してくる。


「なあ、確かに青葉だけど、なんか違う気がする・・・」


「うん、確かに私の知ってる青葉じゃない」


 俺と金剛は首をひねる。確かに青葉だとは思う。連装砲塔3基備えたその姿は間違いないだろう。が、本来水偵用カタパルトやデリックがあるはずなのに見当たらず、対空レーダーが装備されている。


「ほら、島風、ぼそっとしないで」


「は~い」


「間延びしない」


「はい!」


 あの島風が青葉には従っている・・・


「あらためまして、巡洋艦青葉、着任しました。島風がご迷惑をおかけしてすいません。私がしっかり躾直します」


 ショートの元気そうな女の子だった。


「マスター、髪はピンクでセーラー服にしましょうか?」


 どうやら知ってるらしい。


「いや、真似しなくて良いよ。今の黒髪似合ってるから」


「ありがとうございます」


 こっちの青葉も結構可愛い。ジャーナリストではなく、体育会系みたいだけどね。


 その日の夕食を皆でとった後、今後どうするか話し合った。


「青葉が島風の躾をしてくれるのなら助かる」


 話はトントン拍子に進むと思ったのだが


「実はですね。私、非常に航続距離が短いんですよ。航路の往復は巡航でギリギリですし、掃討を考えると近海でしか活動できそうにありません」


 一瞬得意気にニヤケた島風を視線で瞬殺しながら、青葉は申し訳なさそうにそう言った。

青葉は無理なガスタービン化で燃料搭載量が足りないらしい。航続力の点では島風、旗風も松型と変わらないか悪いのだが。


「そうなると、しばらくはウバチャウン周辺を3隻で哨戒、掃討してもらおうか」


 とりあえず、島風問題はなんとかなりそうだ。


「で、更に掃討範囲を拡げるにはこちらは3隻ではそろそろ限界かな。2隻ほど召喚しようか」


 翌日、タブレットから適当に選んだ萩と楡が新たに加わる事になった。


 萩も楡も松型だからなのか非常に真面目だった。

 昨日見たら巡洋艦の召喚も出来る様になっていたのだが、まだ必要性は無さそうだ。

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