3・チートっても普通は限度があるんじゃない?
「ボイラーの準備が整いました」
駆逐艦2隻からその様な報告が届く。
「私はいつでもダーリンの受入れ準備万端」
金剛は無視して出発の号令をだす。
「照れちゃって、可愛いなぁ~。私、これタイプだわ」
金剛は俺に抱きつきながらそう言って頬をつついてくる。
そりゃ、ハーレムとか俺に思いを寄せるヒロインを望んださ。でも、この楽園は少し違くない?いや、否定はできないけどさ。
「あ~、電探の調子が悪いなぁ~、いっそう換えちゃうか」
金剛が双眼鏡を覗きながらそんなことを言っている。
「電探を換えるって、他に無かったんじゃ?」
「そう思う?」
メチャクチャ顔が近い。フフと笑ってチュ。あの、金剛さん、何を・・・
「もう、ホント、可愛い。でね、特別な私には特別な能力があって、イージス艦の装備を持って来られるんだよ。ただ、イージス戦闘システムは積み込めないからSPY1は無理なんだ。よし、やろう」
随分軽い感じに目を閉じて念じている。
「うわ、何これ、精度すごい。これなら射撃に使える。しかも、水線面もきれいだから潜望鏡が見えるかも~」
しかし、ここには潜水艦は居なくてクラーケンというタコやイカのお化けみたいな魔物が居るらしい。出来れば会いたくない。
「喜んでるところ悪いけど、何したの?」
「ん~、22号電探の換わりにイージス艦に付いてる対水上レーダーと航海レーダー付けてみた。ついでに21号電探の換わりに射撃レーダー付けてみたら対空と測距に使えて便利そう。弾道追跡に使えるかもしれないから命中率上がるよ」
一切下ネタ挟まないほど喜ぶとはな・・・
「腹へった・・・」
俺がそう言うと金剛はニコニコしながら寄ってくる。
「じゃあ・・・」
後ろを向いて何やらゴソゴソやっている。まさか?
「航海中はこんなものしか用意できないけど、港に着いたら何か作ってあげる」
渡されたのはおにぎりだった。何処から出した?訳が分からない・・・
「お茶とカルピスあるけど、どっちにする?私はそっちでも良いよ?」
そっちって何ですかね。AVやエロ漫画じゃあるまいに。
「お茶ください」
「それに、何か作るなら駆逐艦も呼んであげなよ」
「え?いきなり4P宣言は流石に退くなぁ~」
「夕飯の話だよね」
「もちろん、その後の話」
ダメだ、話が進まない・・・
「分かってるよ。ノリ悪いなぁ~『今夜はお前だけ』って言えば良いだけなんだよ?」
いや、選択肢が金剛だけか三人かの二択なのが問題じゃないか?
マターリ過ごしていたら眠たくなってきた。
「こちら梨、水中音を探知。クラーケンの疑いあり」
昼寝を考えていたら駆逐艦からの警戒情報だ。
前方の梨に双眼鏡を向ける。方向までは掴めていないらしいので減速以外の動作は見られない。
「こちら金剛、1万4千に魔船らしき船を探知、警戒せよ。梨はクラーケンを頼む、椎は後方警戒せよ」
「梨、了解」
「椎、了解」
「こちら梨、音探に感。クラーケンへの攻撃を開始する」
梨の交信からわずか20秒程度、梨の前に体長20メートルはあるかと思うようなクラーケンが梨を襲う。
双眼鏡で覗くと頭の中程から何かを吹き出したのを見た。
その頃になって発砲音が金剛の艦橋に届いた。
「こちら梨、クラーケンより宝石の浮揚を確認」
「こちら椎、クラーケンに襲われています」
目まぐるしく戦場は動いている。
後方からも発砲音が聴こえた。
「椎、状況を」
「こちら椎、艦体に損傷なし」
どうやらクラーケンは爆雷を食らっているらしく、ほぼ動かないらしい。
「で、金剛は何をやっている?」
「お待たせ。射撃レーダー付けてみたけど、演算機の性能が違いすぎて疲れたぁ~」
2体目のクラーケンも程なく倒せた。
「主砲弾装填」
魔船の回りに船がいないのを確かめながら射撃を行う。
「発射」
発砲煙が視界をうばう。
「3、2、1、今!」
水柱に魔船が飲み込まれたように写っている。水柱が収まったころには海上に魔船は無かった。
「おれ自身のチートが可愛く見えるな、マジで・・・」
それほどすごかった。この世界に戦艦はオーバースペックな気がするな。
たかが一斉射で魔船を消し飛ばしているんだから・・・
「魔船団でも出てこないと無駄だなぁ~」
金剛も同意見らしかった。