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23・これからも

 ひえいを召喚出来たことに驚く俺。


 ほどなくして女神さまから連絡が入った。

 女神さまによると俺は異例や特例が多いという。トゥルクの言った通り、杏子は俺が結婚するはずだった女性で、女神さまが特例で転生させたらしい。


「転生者は転生前の世界をあまり修正せずに済む人が殆どです、大規模な修正を要する人は生き返らせる事を優先させます。そうしなければ、古河さんの様に他の人達も巻き込んでしまいますから」


 確かに、周りを巻き込んでしまうと色々大変だろう。


「そして、古河さんにはお子さんも産まれますのでそこまで含めて対処させていただきました」


 なんと、35年、何の縁もなかった終わるはビックリした。


「じゃあ、今、杏子のお腹の中にいるのは・・・」


「はい、産まれるはずだったお二人のお子さんです。より先の未来については修正出来ましたが、お子さんについては杏子さんが望まれておいでだったので転生措置に組み込ませていただきました。以後の代についてはそちらの世界にお任せすることになります」


 俺たちと子供は女神さまの担当になるらしい。


「あなたが召喚した精霊たちはあなたの子孫に引き継ぐ事が出来ます。引き継ぐ、引き継がないは古河さんの意思を尊重しますので、またその時にお決めください」


 とのことだった。それを決めるのは先で良いだろう。




 それからはひえいを旗艦として、5艦隊による活動を継続した。


 そんなある日の事だった。

 既に杏子の出産も無事におこなわれ、今は杏子の育児を非番の精霊達が手伝っている。俺もなにか手伝おうとしたが放り出された。


「司令はこの単調な日々に不満は無いのですか?」


 ひえいははるなと違い、自ら操縦桿を握っていない。他の精霊同様に意思で動かしている。はるなが自己満足で操縦桿を握っているだけだと知って軽く驚いたが、取り繕って平静を装ったのも、今は笑い話だ。


「単調。確かに単調だな。ひえいは今のやり方に不満がある?」


 ちょっと意地悪だが、質問返しをした。


「私に不満はありません。与えられた任務をこなすだけです」


「そっか、もし、英雄だの何だの言う話なら、俺はそんなことより、今の方が良いかな。考えてみなよ。英雄なんてさ、魔王討伐とかの目的を達成したらそれまで。残りの人生何やるの?今の俺たちはゴールを目指してるんじゃなくて、今あるこの交易ルートを維持するってゴールがない目的のために働いてるんだよ。カッコよく言えば、個別の任務がそれぞれのゴール。俺たちは毎日新しい冒険をやっている。そう考えると不満はわいてこないよ」


「そうですね。そう考えると、不満はわいてこないですね」


 きっと、春原一馬はそんな小さなゴールを許容出来なかったんだろうな。


 ひえいには言わなかったが、俺のゴール。それは連合艦隊を子孫に受け継いで行くこと。俺ひとりではなく、更に先へ。


「ひえい、今日も頼むよ」





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