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2・楽園だと思う

 軽い浮遊感と揺れにバランスを崩してよろめいてしまった。


「おっと」


 ちょうど白い何かにぶつかる。弾力を持ったそれは温かく何故か後頭部に人の腕らしき感覚まである。


「ダーリン危ないよ」


 聴いたことのない声だった。そして、回り出した頭が今の状況を伝えてくる。ここは楽園だと。


 困ったことに後頭部に置かれた腕から力が抜ける気配すらない。


「すいません。腕をどけてもらえますか?」


「え~、嫌なの?これ」


 嫌なわけない。こんな胸の谷間に顔を埋めているなんて楽園だと思うが、まず確認しなきゃならないことがあるんじゃないかと・・・、しばらくこのままでも良いけど・・・


「葛藤だね。これからいくらでもしてあげるから、まずは召喚の挨拶しちゃおうかな」


 そんな呑気な声が聴こえて腕が離れ、頭が自由になる。もう少しこのままでも・・・


「戦艦金剛、ご主人様のご要望により顕現、以後、末長くお慕い申あげます」


 ハートマークが飛び回っていそうな雰囲気でそう言われた。が・・・


「誰?」


 仕方がないだろう。目の前に居たのは巫女服美少女などではなく、身長190はあろうかという長身に綺麗なブロンドな上に海外の女優にしか見えない綺麗な美人だった。俺の嫁がこんな美人な訳がない。

 だいたい、俺は綺麗なお姉さんより可愛い妹系が好みで、榛名や大和より金剛なんだよ。分かるだろ?


「好みの可愛い女の子じゃなくて悪かったな。でも、すぐになれる。私は君の嫁なんだろ?」


 こんな圧倒的な美女に慣れろと?いやいや、冗談でしょ。しかも、女王様の片鱗見た気がする。


「可愛い」


 俺が可愛い言われたし!


「あ、そうか、君は聞いてなかったのか。実はね、今の君は22歳。元気な盛りだよ。今夜は寝かさないぞ」


 そこ、ニッコリ笑わない。様になりすぎて突っ込めないじゃないか。

 っと、さて、真面目に周りを見回す。見たことない場所だが窓の配置などから艦橋なのだろうとはわかる。窓まで歩いて行くと外が見える。かなり高い。そして、見下ろせばなるほど、連装砲塔が2基見える。

そして、隣の美人を見るとニコニコこちらを見ている。


「分かったかな?じゃあ、砲塔右旋回」


 彼女がそう言うと砲塔が旋回を始める。そして、俺に抱きつき、体に沿わせて手を肩から太ももまでスーッと沿わせながら耳元で


「さて、5門の主砲射撃をしてみようかな」


 と囁いた。くすぐったい。わざと耳に息を吹き掛け、背中には胸の感触が・・・


「もう、いいから・・・」


 俺はなんとか離れてそう言う。


「え~、別に汚しても良いんだよ?私も艦もダーリン専用なんだからぁ~」


 わざとらしくそんなことを言ってくる。


「だから、その・・・」


 俺は目をさ迷わせながら言うべき言葉を探すが何を言って良いのか分からない。


「そうだね。あとは夜のお楽しみで真面目な話をしようか」


 言葉と共にニコニコ顔から引き締まった美貌へと変わる。


「実のところ、私は水中索敵は出来ない。そして、小回りも効かないから最低でも、すぐに2隻の駆逐艦を護衛に着けてほしい。魔船だけならともかく、クラーケンなんか出てきたら厄介だよ。それと、対空能力も欲しいかな」


 そのまま写真に撮って飾りたいほど様になる姿勢だった。着ているのは黒の詰襟みたいな服。確か海軍の軍服だよね?あと、白もあった気がする。


「水中索敵が出きる駆逐艦かぁ~、日本の駆逐艦で対潜能力を求めてもあまり期待できない気がするけどなぁ~」


 俺も腕組みして考える。そんな優秀な艦型なんて・・・

 タブレットも開いてみる。ずらっと駆逐艦が並んでいる。そして、分かりやすく能力グラフも見られるのだが、どれも極端な性能だ。島風と秋月型なんか物凄く極端だ。逆にバランスが取れているのは松型かな。全体に能力低いけど、悪くはないと思う。


「じゃあ、松型で良いかな?」


「お、堅実だね。秋月型や夕雲型を選びそうなものなのに。能力よりもバランスを重視したんだ。今夜はご褒美に一杯サービスしなきゃ」


 ニコニコ冗談を言いながら手を叩いているが、髪はブロンドなのに何故か黒いその美しい瞳だけは笑っていなかった。


 俺はタブレットを操作して松型を選択する。メチャクチャ数が多いぞ。適当に流しながら止まった所の艦を召喚することにした。


 金剛の近くの海面が光だして2隻の船が姿を現す。


「なんかさ、ショボくない?」


 俺の第一印象はそれだった。大砲は前後に各1基、魚雷発射管も1基。船体や構造物の大半は直線で構成されていてその時代の美しさからは程遠い艦容といって間違いない。


「見た目はみすぼらしいけど、君はバランスが取れていると評価したんじゃないか」


「確かに・・・」


 そう思って見ていると駆逐艦からボートが下ろされている。


「ダーリン、迎えに行くよ」

 

 金剛がそう言って俺を手招きする。俺は素直に従うのだった。


「駆逐艦梨、戦艦金剛への乗艦許可願います」

「駆逐艦椎、戦艦金剛への乗艦許可願います」


 波間で2艘のボートからそう告げてきた。


「戦艦金剛、駆逐艦梨、椎の乗艦を許可します」


 隣の美人がそう告げると二人の少女が金剛へと縄ばしごを登ってくる。


「「ご主人様、ただいま駆逐艦梨、椎、顕現致しました。以後、ご指導のほど宜しくお願い致します」」


 揃って海軍式の敬礼をする。陸軍や警察は手が斜めになるが、狭い館内でもやり易いように腕を肩幅から出さずに手が垂直に近いのが海軍式の敬礼。詳しい説明は自分でググってくれると助かる。


「こちらこそ、宜しく」


 俺も海軍式の敬礼をまねてみる。なんせ俺も詰襟だからな。


「え~、若い娘にはちゃんと答礼するんだ」


 小声で金剛が抗議してくるが聞き流す。相手をするのが恐い。


 挨拶を終えた二人は自分達の艦へと帰っていく。


「あっれぇ~、視察と称して付いていってセクハラしないのぉ~?」


 金剛がニヤニヤ言ってくる。誰ですかね。抗議をスルーした程度で殺気を向けてきたのは。もし本当に鼻の下のばして付いていったら36センチ砲弾が降り注ぎそうですが?

 駆逐艦の二人は可愛かった。二人ともショートで小柄で細かった。年齢は金剛の半分まではいかない。きっと小柄なだけで18くらいじゃないかな。もしかしたらしっかりして見えたせいかもしれないけれど。


「で、金剛、ここが何処だかわかる?」


 金剛は親指を立てて何やら地図を広げた。


「これが海図、で、今はここ。海の真ん中だね。大陸間航路はこの辺りだから、航路に沿って西に行けば15時間くらいかな。東なら2日。それだと今夜は君と楽しめないから嫌だなぁ~」


 とりあえずスルーして近い方へ向かうことにした。

 タブレットにも説明はあったが、この世界で商船護衛をするなら海上保安組合に登録しなきゃいけないらしい。その為には港へ出向いて組合への登録が必須。まあ、よくあるギルドだろうな。どんなシステムかは見た方が早いだろう。


「じゃあ、ボイラーの準備ができ次第、出発しよう」

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