表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/23

18・また出た

 あれから一週間後、本当に「烏賊釣り」で忙しかった。

 忙しかったのでついつい新たに召喚してしまった。某ゲームのロリ姉妹を。


「暁型揃いました。よろしくお願いします」


 某ゲームのロリは居なかった。暁はロング、黒髪だかな。雷、電は癖毛ではないが短め、響も銀髪ではなく、暁に準じる。体格も年齢も高校生相当だったが、島風程の軽さはなく、真面目だ。

 彼女らにはアハペナンマーまでの航路啓開を任せた。と言ってもその外周を金剛隊の秋月型が哨戒、掃討を行っているが。


 俺は烏賊釣りが一段落してすぐに、金剛と共に秋月、冬月を伴ってアハペナンマーの港を訪問した。

 アハペナンマーは大陸の港街ではなく、大陸の出口にある多島海にある島だ。こちらの大陸は沿岸部に湿地や湖畔が点在して沿岸部の横の交通は船に頼ることが多いらしい。内陸部の都市にもカレリヤ川という大河を遡上すれば辿り着ける。

 そんな環境で交通の要衝となっているのが広大な船泊を擁するアハペナンマー。


「ようこそ、海中の大陸の人」


 アハペナンマーの組合長からそのように迎えられたが、ぶっちゃけるとアバチャウンは大陸の港町ではなく、あそこはこの大陸の半島だ。しかし、ちょうど半島のつけ根に当たる地域に魔族領域があり、その外周に幾つか魔の森が点在している。そのため、人間の交通は陸路が遮断され海路に頼る状態なんだそうだ。とはいえ、対岸なんだから海路が最短距離なのも間違いではないが・・・


 以前、オモヤッテを訪れた魔族がバカが攻めてきたと言ったが、アハペナンマーで大陸間航路の現実を知って、少し認識が変わった。多分、おバカは陸路開拓による利益を目当てに攻め込んだんだろうと思う。陸路で人間居住地を結び、自分が管理できたらそれはそれは巨大な利益が出そうだ。まあ、俺の場合、競合相手がいない海路の独占だが・・・


「あなた方が護衛に付けばこれまでより遥かに安全な交易が可能になるとか」


 組合長は揉み手で詰め寄るが、俺はこういうオッサンは苦手だ。


「クラーケンに襲われないとは言い切れませんが、8割程度は確実に往復出来るでしょうね」


 俺はその様に告げた。事実、帆船の速度と駆逐艦の速度が違いすぎる事に問題があった。この世界の帆船は未だに初期のガレオン船と同類の船であり、風次第だが、さいこうで7、8ノットでしかなく、12ノットは無いと効率が悪すぎる駆逐艦ではとうてい、船団護衛などの安全策がとれない。せいぜい、航路の各地に哨戒線を張り、クラーケンや魔船の対処に当たるのが限界だった。


「ほう、なぜ?」


「私の扱える精霊に限りがあるからです。交易船全ての護衛をする数の精霊は扱えません」


 揉み手が止まり、俺はなんとか平静を取り戻す。オッサンは腕を組んで唸っているが仕方がない。


「う~ん、確かに、個人で扱える量には限度があるし、あなたみたいな術師は伝説的な成果を出した一人しか知らない」


 彼はそういって納得したが、俺はその「伝説的な」人物が気になった。


「過去にも私のように船の精霊を扱える者が居たんですか?」


「船はどうか知らんが、あなたみたいに奇想天外な武器を出したり精霊を操るやつだった」


 話によると、例のバカで間違いないらしい。


 30年近く前に急に現れて魔の森で目覚ましい成果を挙げて、安全回廊を実力で魔族居住地に作ろうとして叶わなかったらしい。今は内陸の街で優雅に暮らしているそうだ。精霊を操る力は魔族との戦闘で失い、今は魔の森の一部を安定化させた功績として与えられた豪邸を貰ったんだそうな。

 そいつの能力は海に出なかった事から陸戦兵器に限定されていたのだろう。それで陸路の解放に向かうとは・・・

 会いに行く場合、陸路なら3週間、カレリヤ川遡上でも1週間はかかるそうで、今の俺には無理な相談だった。いくら彼女らが自主的に行動可能とはいえ、2週間以上俺が居ないのは組合への依頼の受領関係から非常にまずい。


「そう言うことがあったんですね。ありがとうございました」


「いや、何、あなたには航路の安全確保を第一にお願いしたい。例の人物を真似されては折角の大陸間交易の復活が出来なくなってしまう」


 揉み手ではなく、真剣に言われたので素直に受け取る事にした。


「私も、航路啓開が目的でやった事です。ご心配なく」


 よく考えれば、地上戦力を持たない俺には魔の島を占領するのは無理だ。航路の護衛って旨い商売が営めるのだから、贅沢は言うまい。


 俺は組合長と今後の話を幾つか行って金剛に戻った。


「うん、ダーリンのそういう堅実なところは美点だよ」


 と、経緯を話したら抱き締められた。

 そうだな、金剛みたいに時に俺を引っ張ってくれて、こうやって一緒に喜んでくれる女性なら、一緒に居たい。そう思えた。


「こちら暁、こちらに戦艦が2隻現れて隊長に会いたいと言ってます。青葉さんによると、同じ艦隊に居た戦艦とのことです」


 要らないって思ってたのに一気に2隻かよ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ