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12・改めて、真面目に探索

 二日目はパイカラの探索をすることになっている。

 オヤモッテの探索がアレだった訳だが、今日は青葉と島風が居残りとなった。


 オヤモッテ諸島はオヤモッテ島の周りに成長したサンゴ礁によって形成されている。オヤモッテ島自体は古い火山の跡で殆ど風化してしまっている。パイカラも火山系の組成で殆ど水が浸透しない岩盤に雨水が溜る事で湖、もとい池が形成されている。場所が亜熱帯気候のため雨量は多く、パイカラに降る雨は地面に浸透し、最終的に池に集まるようになっている。


 この地形のためあまり農業には向かない。そもそもが周囲10キロ程度の島では塩害の影響もあってオヤモッテ島の様に畑を拓くにも制約が大きい。パイカラの人口は150人程度で殆どの人は桟橋から程近い集落に居住していたらしい。


「さて、今日は調べる集落もひとつだから全員で行こう」


 昨日の島風の例もあるからペアでの行動を原則にしている。

 今日も装備は昨日と同じく89式小銃を全員で装備している。パイカラには山と呼べるものは無いから既に難破船の様なものが無いことは艦から確認が出来ている。

 この島にも石垣で出来た桟橋があり、上陸は難なく行えた。


「昼には桟橋に集合を予定している。島風みたいなことにならないよう、気を引き締めて行こう」


 昨日、魔物に会ったことで探検隊気分は抜けている。

 集落には少数の建物あとしかなく、一時間程度で探索を終えることが出来た。

 後は淡水湖だが、行く手を藪に阻まれてなかなか進まない。さすがに水辺が近いと植物の成長も良いらしい。


「大丈夫か」


 疲労が見える藪払いメンバーを交替しながらなんとか到着した。

 淡水湖は澱むことなくきれいだった。


「これなら生活用水に使えそうだが・・・」


「集落よりもこちらが低いので少し大変ですね。それに、あまり人数が増えると汚水の流入も懸念されます」


 旗風の指摘は尤もだ。


「そうすると、元島民から希望者を募る程度で大した人数は連れてこない方が良いか」


 小さいとはいえここを所有するとなると、色々と難しいことになりそうだ。



 帰りは道作りに多少広めに刈払いを行いながら集落跡まで戻る。塩湖でないのが不思議な光景だが、池と海面にはあまり高さの違いがあるように思えなかった。



 オモヤッテ諸島探索から帰港した俺は組合に状況を報告した。


「魔船が難破か。そんなこともあるんだな」


 オッサンも驚いていた。これまで魔船の難破は報告が無かったらしい。


「それで、元島民の希望者に限った方が良いんだな?」


「その方が良いと思います。あと、多少、警備に冒険者は居ても良いでしょうが」


 オッサンもそれには納得だったようだ。


「往来は君らが護衛するんだな?」


「そうなります。勿論、漁船1隻まで全てという訳にはいきませんが」


「そこは理解しているよ。既にこの周辺でもやっていることだ」


 オッサンは快く同意してくれた。あと、懸念材料は領主に対しての話だったが


「独自に税を取るなら話も必要だが、港の利用だけなら必要ない」


 との話だったので、港の利用に止める事にした。また、代官のような形になるそうだが、その辺りの雑務は組合が請け負うそうだ。組合って、ギルド以上の組織なんだな。どちらかというと辺境行政府?代表がこのオッサンで、事務は婆さんしか見たことないが・・・

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