歌姫
鉱夫の笑い声が聞こえる。
カナリアが一羽死んでいた。
それでも鉱夫はうるさく笑う。
声が潰れたカナリアの歌が
それでも鉱夫は酔いしれた。
鉱夫しか聞き取れぬ
しゃがれた声を、
カナリアは泣いていた。
ここから出たいと思ったか、
寂しさゆえの嘆きかは、
死んだカナリアには
分からない。
鉱山の歌姫は、
それでも鉱夫の癒しとなれた。
いついつ死ぬかもわからぬ職場で、
それでも鉱夫は笑う。
歌が聞こえた。
喉も耳も死んだ山には、
それでも歌姫は奏で、
そうして鉱夫が笑うのか。