兄、私、母
登場人物紹介を前書きにさせて頂きます。
主人公.澤中千華。高校一年生。大好物は、たらの唐揚げ、嫌いな食べ物は果物。家事、掃除が苦手でいろいろ問題発言が多い女の子。
兄.澤中雄太。飲食店で働く21歳。家事も掃除も出来て料理上手なお兄さん。妹の問題発言や質問にツッコミをいれるが実は妹との会話が好き。彼女いない歴は、3年。今は妹が料理が出来るようにしたいと願って格闘中。
母.二人の子供、雄太、千華を一人で育てあげたパワフルシングルマザー。働くので忙しく、家にはあまりいれずにいる。とにかく好きなものは子供とらーめん。
窓から太陽の光が照らして朝になったのを感じた。太陽の光があっても布団から出れば寒い。
布団の中にもぐり二度寝に突入した。布団のぬくもりが心地よくて深く眠りつく。
「朝ごはん出来たぞ、おい」気持ちがいい眠りに低い声が自分に向かって叫んでいる。
「朝ごはんいらないのか?起きろ」起きるまで叫ぶご様子だ。
「今日は、たらの唐揚げにしたぞいらないなら食べるな」たらの唐揚げに耳がピクリと動く。大好物のたらの唐揚げに寝ていることはできなかった。私は飛び起きた。
「たらの唐揚げ!食べる起きますお兄様」たらの唐揚げに飛び起きた私は、澤中千華高校一年。
「お前、そういう時だけお兄様かよ。とりあえず手は洗え」テーブルに味噌汁、たらの唐揚げ、たくあん、もやし炒めが並べられていた。私の兄は料理が好きで朝と夜は兄が作る。
「どうした?早く洗ってこい」私の兄、澤中雄太いろいろあり今は飲食店で働いている。21歳だ。
「お兄様になぜ彼女が出来ないのか疑問!」
「たらの唐揚げ没収」その言葉に私は必死にたらの唐揚げを奪う。
「嘘です。すいません勘弁してくださいお兄様」
「お前なあ…さっさと食べろ。冷める」苦笑いをしたらの唐揚げをおいしく頂いた。
「でも、何で彼女いないのかと疑問なんですよ。」
「あのなあ、彼女いないからって駄目ではないだろ。朝からこんな話するなよ」兄は、ごはんをよそい隣に座った。私は兄にさらに質問をぶつける。
「兄どの兄どの、彼女欲しいの?料理出来るし家事も出来るし本当は異性ではなく同性……」目の前に手のひらが襲いかかり激痛が走る。
「痛い……いたいいたい。ごめんなさいごめんなさい」兄の力がどんどん強くなり声も出なかった。二度とこんな質問はしないと心に誓った。
「同性な分けないだろ。女の子が好きだよ。別に駄目とかではなくただ恋愛対象にはならないだけだ。同性でもいい相手ならいいんじゃないか?よくわからながなんでお前はいつもいつも変な質問するんだよ」兄の説教が始まりそうなのでここまでにしてたらの唐揚げを食べた。
「たらの唐揚げ食べてないで答えろよ。わけわからん」
「兄ちゃんが大好きだからかな?」ぶりっ子の真似をして言ってみる。兄の顔には、三文字でキモいと現れていた。
「さっさと、学校いけ。このぶりっ子」兄の態度がさらにひどくなった。いつもこんな朝を過ごしている。
兄と私で朝ごはんを食べて私は学校へ兄は仕事へいく。まるで、桃太郎の一場面だ。
「兄貴は冷たいなあ。ご馳走さまです」手を合わせて急いで部屋に戻った。兄は片付けない私に叫ぶ。
「片付けてけーー」いつも家事もごはんも兄に任せきりで私は何もしない。兄はもう呆れていた。
荷物をまとめて、洗面所に向かい自分の顔を見ながら歯みがきをした。
「おい、今日仕事終わるの遅いからなんか買って食べろ」兄が鏡ごしに見え千円をポケットに入れてくれた。
「あ、り、がと」
「早く学校行かないと遅刻だぞ急げ」歯みがきを終え兄からもらった千円を財布にしまった。
「いってきます」廊下をスキップしながら通り玄関のドアを開ける。
外は今日も晴れ。大好物のたらの唐揚げも食べて今日は機嫌がいい。
「頑張ろう!今日の晩御飯は唐揚げ弁当ーー」大声で家の前の大通りを走り出した。
こんな兄との会話が私の日常になっている。台所の大きいテーブルに隣り合わせで座り、私の質問やバカな話も兄は聞いて突っ込んでくれる。
私の家庭にはお父さんがいない、母が一人で育ててくれている。今は兄が家事や掃除、ごはんを作ってくれている。私は、そんな二人の笑わせ役なような人だと自分では思っている。
この小さな家の居間に私の日常が広がっている。私と兄とたまに母の日常は、毎日がミラクルになっています。