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お弁当

「ゆい、愛しの旦那様がお弁当持ってきたわよー」

私の友人の一人が叫ぶ。

恥ずかしい。顔が真っ赤になっていくのがわかる。

「ほれ、なーに赤くなってんだ。早く机のうえ綺麗にしろって。ごめんね、この椅子借りるよ」

私のそばにやってきて手に持ってる二つのお弁当を机に置きながら近くの椅子に座る。

机の上が綺麗になったのでお弁当を広げる。

「あたしたちもご一緒してもいい?」

そこに私の友人とその幼馴染もやってくる。

「いいよ、多い方が楽しいからな。いいよな優衣」

「うん、私もそっちの方がいい」

そしていつもの4人でお昼を食べることになった。

「いいね、ゆいは。お弁当を作ってくれる彼氏がいて」

「なにいってるの、佳織だって優しい幼馴染がいるじゃない。

「幼馴染ってだけじゃん、私は彼氏がほしいの」

なんて他愛もない話をしながら響の作ってくれたお弁当を口に運ぶ。

おいしい、最初のころは全然ダメだったのに今では私の好きなものを理解してお弁当を作ってくれる。

「幸せそうに食べるね、見せ付けてくれてこの」

佳織はそういって購買のパンを食べる。

「確かにおいしそうに食べるよね。僕もそう思う」

佳織の幼馴染、あきらも同じように購買のパンを食べながらいう。

「あたしの分も作ってよ、ひびき~」

佳織が響に懇願しているが当の本人は

「いやだ、お前には購買のパンがお似合いだ」

と返してた。


お昼も食べ終わり残った時間をしゃべりながら過ごす。

そこで思い出す、今日はお菓子も持ってきてたことを。

「そうだ、今日はお菓子も作って来たぞ」

俺はそういって持ってきてたバッグからタッパーを出す。

「味は保証しないけどな」

真っ先に食いついてきたのは佳織。

「お菓子って、あたしたちも食べていいの?」

「あぁ、いいぜ」

そういうと佳織は一つつまみ口の中に放り込む。

「それじゃ、僕もいただきます」

「ほい、優衣も食べろよ」

自分の分を口に入れながら優衣の口元に一つ運ぶ。

すると手で受け取らずそのまま食べる。

その拍子に優衣の柔らかい唇が触れる。

思わずドキッとしてしまうが顔には出さないようにする。

「どうだ、俺個人的にはうまくできたと思ってるんだが」

気になる感想を聞くと優衣は「おいしい」といった

さらに同じように食べてた彰と佳織も続けておいしいと言った。

「本当、響ってなんでもそつなくこなすよね」

「人間、見たいもののためなら頑張れるんだよ」

響がこんなにもできるようになったのは優衣の「おいしい」と言ってもらうためである。

(なんてそんなこと人には言えないよな)


放課後、優衣と並んで一緒に帰る。

いつもの光景。

けど、いつもと違うことがある。

いつもならもっとしゃべってもいいはずなのに今日は会話がない。

会話をしてもすぐに途切れてしまう。

「今度、またお菓子作るけどどんなお菓子がいい?」

「その…タルトとか」

「タルトか、なかなか作り甲斐がありそうだな」

「………」

つ、つらい。付き合い始めたときを思い出しそうだ。

こう、何をしゃべっていいのかわからなくてうわーっとなる感じとか。

気が付くと優衣と別れる交差点に来ていた。

「それじゃ、また明日な」

そういって帰路に着こうとしたが服の裾をつままれ歩を止められる。

「どうした、優衣」

振り返ると顔を真っ赤にした優衣が突然迫ってきて頬にキスをしてきた。

一瞬の出来事すぎてフリーズしている。

「その……いつもありがと」

優衣はそういうと自分の家の方へ走っていた。

恥ずかしさで顔が真っ赤だったがすごく可愛い笑顔だった。

なんて思いながらキスされた頬を触る。

「なんか、今なら何でもできそうだ!!」

あの笑顔をもう一度見るためにこれからも俺は頑張るのだろう。

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