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念願の冷凍剣を手に入れたのに、冒険者たちがまともに話をしてくれない!

作者: gac
掲載日:2015/05/24

「殺してでも奪い取る」

「殺してから奪い取る」

「奪い取った上で殺す」


「待て待て待てぇぇい。なんでいきなり、そんなに殺戮マシーンと化してるんだお前ら」

 ガラハゲが冷凍剣を片手に、唾を飛ばす勢いで怒鳴り散らす。


「せめて俺が何をどうしたか、くらいは話させろよ。いきなり殺すってなんだよ」

「えー。でもどうせ『冷凍剣を手に入れたぞ』って言うだけでしょ?」

「大事、そこ大事。本当に大事だから。絶対に譲れない一線だから」

 見苦しく縋るガラハゲを憐れみ、しかたなく冒険者達は別の選択を考える事にした。


「聞く耳持たずに殺す」

「口を開く前に殺す」

「殺してから話させる」


「こらこらこらぁぁ。奪うって前提は何処に消えた? 早いな。奪う前提を失うの早かったなぁ」

「まぁ前提条件ってのは常に臨機応変されるべき物ですし」

「だからって俺を殺す前提に変化しなくても良いだろ」

「うーん、まぁ確かに少し殺伐とし過ぎましたかね」

「そうだな。そうだぞ。そうなんだ。自分で反省出来るのは良い事だ」

「奪い取るのを前提に考え直してみます」

 満足気に頷くガラハゲ。過ちに気付ける若者、素晴らしい。


「親を人質に取ってでも、奪い取る」

「親を人買いに売ってから、奪い取る」

「親を殺す」


「おいさっきから最後の言ってる奴。お前だ、お前」

「はい? 何か?」

「黙ってスルーしてたけど、お前がさっきから一番おかしい。だいぶおかしい」

「と言われましても、それはガラハゲさんの常識を前提にしたお話ですよね?」

 指差された冒険者は、両肩を竦めて話を続ける。

「自分の狭い常識で誰かを『おかしい』と糾弾する、その態度こそ非常識を疑うべきでは」

「やかましい。他の二人の主張とお前の主張を比べてみようか? はい、じゃあ次の言ってみろお前ら」


「髪の毛を抜いてでも奪い取る」

「カツラと交換して奪い取る」

「そう、関係ないね」


「ちょっと待てや。いきなり原作再現すんなよ」

「え? 原作だと髪の毛に言及してたりしませんでしたけど」

「うわ、このハゲってもしかしてニワカ……(うわ、このハゲってもしかしてニワカ)」

「心の声をわざわざ音読するな。お前ら二人じゃないぞ。最後の奴だ、最後の奴」

 指摘されて再び肩を竦める冒険者。


「ほら、貴方の『さっきから一番おかしい』という『前提』が崩れてしまいました」

 その表情にはガラハゲを軽蔑する笑みが浮かんでいる。

「如何に狭い常識で、普遍的に通用しない言葉であったか、猿でも分かりますね」

「おーまーえーもーなー」

「確かに私は意図的に、少しズラした答えを返していました」

 両手で透明なろくろを作る手つきとなり、何か素晴らしいアイデアを語るような仕草で話す。


「でもガラハゲさんが『非常識』であるからこそ、多様なアプローチを選択する上の手段なのです」

「ほほぉ……冷凍剣を手に入れた、って言う前に殺しまくるお前らが常識を語るか」

「どうしてもそれを言いたいのですか?」

「そりゃそうだろ。名台詞だぞ、名台詞。リメイク前はバトルシーンすら無く奪われてたし」

「分かりました。じゃあ言って下さいよ、そのセリフ。待ってますから」

 冒険者たちの言葉にパッと表情を明るくするガラハゲ。ハゲた頭頂部も輝きを増した。


「よしよし。じゃあ言わせて貰おうかな。んっんっ、あー。本日は晴天なり。念願の」

「殺してでも奪い取る」

「殺してる」

「殺した」

「最後まで言わせろよ!」

 一瞬にして消滅するガラハゲ。それが彼の遺言であった。

 ハゲだからリメイク版かと思いきや、まさかの旧機種版だったのだ。


(そう言えば『な、なにをする貴様らー』って言ってないわ。このままじゃ成仏できない……)

「そう、関係ないね」


もう、見ての通りの内容ですね。

面白半分で殺される彼にも、こんな風に色々と言いたい事はあるのです、たぶんきっと。


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