表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

銀天街の神様

作者: 瀬川潮

 噴水がある石畳の広場や通りを石の建物が囲む。田舎の小さな街だが、不思議と都のように整っている。上空には厚い雲。重く垂れ込み、街を闇に包んでいる。

 街は常に暗い。朝も、昼も。

 突然、ターンと銃声が響いた。馬のいななきが続く。

 音はすべて建物の中から。ぐるりと街のすべての建物から響いているのだから厚みと奥行きがある。

 やがて、軽快で躍動感あふれる音楽が鳴りはじめた。

 ヒヒーン、パンパン、パーン。

 同時に、街の中心にある広場の噴水から一条の光が天に向かって放たれた。厚い雲に疾駆する幌馬車とそれを追う盗賊団の騎馬の群れが映る。

 住民は皆、外で空を見上げている。瞬きも身じろぎもせずに。

 光条の元が一つの目玉であることを住民達は知らない。噴水の水が少ししょっぱいことも、当然。

 住民は皆、肛門から口まで鋭い刺のような一本木にそれぞれ貫かれたまま銀幕を見上げているのだから。幹は石畳を破っている。

 林立する座席に、空きはない。

 折りしも訪れた旅人もまた、口を開けて天を仰いだ瞬間血しぶきを上げ着席することとなった。

 満員御礼神話。

 目玉はやがて宇宙空間を行く巨大な宇宙船を投影する。遠い眼差しに、気付く者はいない。



   おしまい

 ふらっと、瀨川です。


 他サイトのタイトル企画に出展した旧作品です。当時の選評を元にやや改稿しています。2008年作品。瀨川潮♭名義。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ