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水の勇者の冒険は終わった・・・  作者: マサ
第3章 目覚めたのは
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第72話 (―)勇者、魔王を知る

「“魔王”が・・・かわいいだと!?」


黒ローブの者は半透明の泡の中から呆れた風に返答した。


『ああ・・・かわいいかわいい。あんな雑魚をかわいいと表現する以外にどうしろと?』

(やっぱり(・・・・)・・・・・七柱の連中もそれは知らなかったようだった。だから、コイツにも知識として教える事が出来なかったと言う訳か・・・)


「・・・・・どういう事だ!?」


『おいおい・・・・・オレと会話する気は無いんだろ?オレの戯言(たわごと)なんて流せよ・・・』

(こう言えば、アイツに乗り移っている七柱も話を聞きたくなるかな?)



俺は考える・・・・・こんな怪しい奴からの情報は信用出来ない!でも、俺の中の“何か”が情報を聞き出せと(ささや)いている・・・


俺の状況を整理しよう・・・

俺は悪党である奴にいつの間にか持っていた槍で攻撃している。

奴は俺の攻撃を防ぐのに精一杯で動く事が出来ない。言葉巧みに俺を騙そうと話しているから余裕が無いと見ていい。

後ろのシロリンさんは動く気配が無い・・・おそらく、いや絶対に俺の勝利を信じて待っていてくれるはずだ!


シロリン(私はどうしたらいいのかしら?・・・アキラ程度では主様・マサシにキズ一つつける事が出来ないのは明白・・・・・・

私が間に入れば余計に(こじ)れそうだから・・・・・ここでマサシの勝利を傍観するのが正解かしら・・・)



「・・・俺がどういう事かと聞いているんだ!さっさと話せ!!」

やはり、コイツはムカつく・・・何もかも知っていますと言う態度が腹が立つ!!!


『は~~~~~・・・・・それが人に物を頼む態度?

まっ、いきなり攻撃して来た野蛮人に自分がどれだけ的外れな事を言っているのか教えるのもよかろう・・・・・』

(七柱の連中も今のクロスディアの状況をきちんと把握している訳でも無いし・・・それを教えてからの説得の方が話も進みやすいでしょう。)



黒ローブの者はバリアを張りながら、いつの間にか有った椅子に優雅(ゆうが)に座ると話始めました。


余裕無い癖に余裕があるように見せる態度に俺は更にムカつき度を上げ、更に槍に力を入れるが泡のバリアに刺す事も出来ない事に更にムカついた。


『紹介が遅れたが、オレは日本から異世界クロスディアにやって来た地球人だ・・・

故あって、本名を伏せているので能力にちなんで“アワガニ”と名乗っている・・・以後よろしく!

これから話す事はオレがこの世界で調べて知った事だ・・・だから、いちゃもんをつけたかったら妄想では無く、ちゃんとした理屈で反論してくれ!


それでは問おう・・・“魔王”とは何だ?』


「・・・・・・世界を恐怖で満たす者・・・勇者が倒すべき相手ッス。」


『あらかたは間違いでは無いが、正解でも無いな・・・

じゃあ、この世界の“魔王”はどうやって産まれる?』

(ホ~・・・“ッス”が出たと言う事は七柱の連中が精神干渉を弱めたと言う訳か・・・

やはり、連中も“魔王”や“世界”については完全には知らないようだな・・・)


「そんな事を俺が知って訳無いじゃないッスか!!!」


『そう・・・お前は知らない・・・・・この世界クロスディアの事情も知らない・・・

その事を念頭にちゃんと話を聞こうな?

この世界(クロスディア)の“魔王”は世界の自浄作用でも浄化しきれなかった歪みの力・邪気に取りつかれた生物の事を指す。

その邪気は世界の負の感情を凝縮したような物だから、それを内包すると邪悪な考えに染まってしまう。』


「それが貴様だろうが!!」


『・・・・・過去の規模で言えば、自浄作用は殆どの邪気は浄化され、欠片程度の小石サイズで“魔王”は産まれて人間社会に恐怖を与えた。

運悪く拳大の邪気の欠片が出来た時には“大魔王”が産まれて世界が滅びかけた。

いずれも“勇者”が召喚されて何とかしたみたいだけどな・・・』


「・・・・・何が言いたいんッスか!?」


『これを見て、そんな規模の話をしているオレ達をどう思うか・・・聞かせてくれよ?』


黒ローブの者・アワガニは指パッチンをした。


ありがとうございます。


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