第71話 (―)勇者 相対する
文中の( )はマサシの心情を入れています。
『・・・それについては、オレが説明しよう・・・』
―――――――・・・・・テ・・キ・ダ・・・―――
「“槍騎士”発動!!!」
俺はいつのまにか持っていたカードを掲げて、あの嫌な感じがした声の方に何も考えずに走っていた。!
『!?・・・下級泡障壁!!』
声の方には、黒いローブを羽織っていた人物が立っていた。俺はいつの間にか持っていた槍でその人物に突撃していたが、半透明の泡の膜に遮られていた。
ギギ!・・・ギギガガガ!!!
半透明の泡の膜と槍は音を立てて衝突していた。
『・・・・・いきなりだな?』
(・・・まだ暴走しているようだな・・・)
―――――――コロセ―――――――
「ッ!?・・・お前は敵だ!!!」
『・・・何で?』
(理由は何となく察するが一応聞いておかないとな・・・)
「それは・・・・・勇者である俺の勘がそう告げている!」
――――コロセ―――コロセ――――
『プッ!?・・・あっ、悪い!』
(よりにもよってオレに対して勇者とは・・・・・七柱の過激派は教育がなっちゃい無いな・・・)
「!?・・・何がおかしい!?」
『いやだって、いきなり襲われた理由が《勇者の敵》だからなんて・・・笑う以外のリアクションを取れと言う方が無理あるよ!』
(やれやれ・・・・・ここからどう説得しようか?)
―――――ワレ・―ガ――セ・・イ・・・ギ――――
「確信持って言えるぞ!・・・・・俺が正義でお前は悪だ!!!」
『ハ~~~・・・・・自分のいる場所すら把握していない奴がよく言うよ・・・』
(“槍騎士”の適性が高すぎるようだな・・・同調し過ぎて感情が引きずられているようだな・・・)
「うるさい!・・・それにもう俺は思い出した!!!
俺は魔王であるお前を倒す為に日本から異世界クロスワールドに召喚された勇者だ!!!!!」
黒いローブの者は頭を抱えた。
『・・・・・おいおい、それはマジで言っているのか?』
(七柱過激派の精神干渉による記憶混濁かな?
そう言えば、シロリンと会話していた時の『ッス』の口調が消えている・・・・・これも精神干渉の影響だろう・・・)
―――――――コイツ・・・コロサナケレバ・・・―――――――
「ああ!大マジだ!!」
『なら、間違いを指摘してやるよ・・・
まず、この異世界の名はクロスワールドでは無く、クロスディアだ!』
(何で、オレがこんな初歩的な事を指摘しないといけないかな!?)
「!?・・・嘘をつくな!!!」
『嘘じゃないよ・・・これはこの異世界の女神様から聞いた情報だから間違いないと思うぞ・・・
そもそも、お前にオレが異世界の嘘の名前を教えてなんになるんだぁ?』
(これで自分の記憶が混濁している事を自覚してくれればいいのだが・・・)
――――――――アイツ・・・・・ハ・・テキダ!――――――
「うるさい!・・・・・そうやって、俺を騙して嵌めようとしているのは明白!」
(うわーーー、オレと会話する気ゼロだな・・・)
「・・・まあ、異世界の名前なんて小さな事はどうでもいいか・・・・・
そんじゃあ、本題だ・・・オレが“魔王”と言っていたな?」
「ああ!言ったぞ!!・・・・・勇者が絶対に倒さなければならない敵、すなわち“魔王”だ!!!」
『は~~~オレがそんなかわいい存在と誤認しているとは・・・・・憐れすぎて泣けて来るよ・・・』
もしかしたら、更新速度が落ちるかも知れません。その時は御了承下さい。




