第62話 水の勇者サトルの正体
今回はアワガニ(主人公)の心の声が多いです。
《では、私の所属していたパーティーのリーダー・水の勇者サトルの説明からさせていただきます。
よろしいでしょうか?》
ビアンカは周りの人に確認を取った。
ユキ・ピエール・オレはコクリと頷いた。
《それでは初めに言っておきます。
“サトルは勇者ではありません。”》
「はぁ!?」とピエールは驚き、
「そう・・・」とユキは納得して、
【・・・・・・・】とオレは沈黙していた。
「どういう事だ?・・・と言うか何で“勇者”なんてモノが出てくる?」
《ピエール様・・・勇者とは何ですか?》
「勇者?・・・・・・この世界の“勇者”は『世界の危機に陥った時に神託を受けた者が召喚に応じて現れる救世主』っと聞いている・・・・・
まさか!!・・・世界が危機に陥っているのか?」
ピエールはバンと机を叩き立ち上がった。
その顔は信じたく無い現実を見せられているので苦々しい表情になっていた。
【あー、ピエールに質問・・・世界の危機以外にあの怪獣が出現する程、この世界は危険なのか?】
「・・・・・・」
ピエールは考え込んで、しばらくして無理矢理納得した顔で席に着いた。
「了解・・・・・勇者が召喚される程の危機になっている。それはともかく、何でそのサトルは“勇者”じゃないの?」
《コホン・・・サトルは“転生者”。つまり、異世界の知識を持っているがこの世界の住民です。》
「?・・・それが問題になるのか?」
《大問題です!そもそも勇者は神から世界を救う力を授けられて降臨するモノです!》
【(それはちと違う・・・世界を救う力を秘めた者を選定して呼ぶ。この世界の神はそこまで力があるわけ無い・・・)】
《確かにこの世界の住民でも“精霊”達に認められれば“勇者”になる事は出来るが“神”に選ばれた異世界の勇者とは雲泥の差があります。》
【(今後の世界動向の予測からして、精霊になってしまったオレに認められたピエールには頑張って貰わないといけないかなぁ~~~
ピエールが勇者として活躍する分だけオレの負担が軽減されるから“神”に選ばれた異世界の勇者以上の力を持たせる為に色々と準備した方がいいかな?)】
《あの者は事もあろうか、異世界からこの大陸に召喚された『水』の勇者の能力を奪って成り代わったのです。》
「・・・・・異世界から召喚されたねぇ~
ところでその能力を奪われた本物の『水』の勇者はどうなった?」
「そうね・・・あたしもそれは気になります!」
ピエールとユキは疑いの目でアワガニを見た。
《それは【死んだよ・・・水の勇者サトルサイドにはそいつを生かしておく理由も無いだろう?】・・・・・みたいです。》
「本当か?話の流れ上、アワガニが本物の『水』の勇【関係無い】・・・」
「でも、あたしもアワガニが【全く関係無い】・・・」
ピエールとユキは言葉を遮られた上で、オレが放っている威圧で黙ってしまった。
【全く関係無い話を続ける気なら続きはあの世でやってくれ。】
オレは殺気を抑えきれずに宣言する。
《「「・・・・・・・・ゴクリ・・・」」》
ビアンカ・ピエール・ユキは息をのんだ。
《ゴホン・・・・・つまり、サトルは偽勇者です。》
オレは話が元の軌道に戻ったのを感じる事が出来たので殺気を引っ込めた。
ビアンカ・ピエール・ユキは安心したようだ。
【(サトルは“偽勇者”では無く、“逆勇者”。この世界の勇者の使命は“浄化”だがそれが反転してしまい、“汚染”を進めてしまう。まさに勇者の使命を逆に進める者。
早めに始末したいがあの女がいるから返り討ちの可能性が高いから手が出せない。)】
《それではアワガニ様と偽勇者との戦いの後の説明をします。》
ありがとうございます。
説明の続きは8/30 12:00にします。




