第55話 渡されたチカラ
今回も説明回ですみません。
【このカードを渡そう。】
アワガニさんからピエールに1枚のカードを渡された。
カードを受け取ったピエールは半眼しながらアワガニさんを見た。
「なあ・・・」
【このカードにはオレの“騎乗”スキルの力が宿っている。故にこのカードを使う者は“騎乗兵”の能力が使える。】
「おい・・・」
【このカードは体内に入れる事で初めて使用可能となる。また、潜在スキルと融合してしまうので取り外しは不可能だから注意してね!】
「だから・・・」
【あっ!!・・・いい忘れていた!このカードはお前の転生者としての能力を目覚めさせるから】
「・・・なるほど!」
ピエールはガシッと目を反らし続けるアワガニさんの顔を無理矢理自分の方に向けた。
「アワガニさん?・・・そういう仕様については“情報共有”全開の時に教えてもらったから説明は不要ですよ!
それよりも、この“騎乗兵”がお前にとってどんな物かの説明と“騎乗兵”の仕様について、何か言い訳があるのなら聞かせて貰いたいのですが?」
アワガニさんはピエールの手を振り払い、再び目を反らした。
【・・・・“騎乗兵”はオレを守護する“七柱結界”の一つ。今現在で最も力を注ぎ込み、お前に力を与える能力はそれしかなかったんだ!】
「俺が聞きたいのはそういうのじゃねぇ!
この“騎乗兵”は完成された力なのか?。」
【ヒューヒュー】
アワガニさんは吹けもしない口笛を吹いていた。
「・・・こんな未完成品であんな怪獣を倒せるのか?」
【相手がヤツでオレが力を貸せば、計算上は可能だ。】
「・・・分かった、これに関しては横に置いて置くよ。“騎乗兵”の仕様についての説明は?」
【お前に渡す“騎乗兵”には変身ブレスレットがついて来る。“魔力充填”によって貯まった魔力を装備に変えて、装着者を強化する仕組みだ。また、騎乗する物も試作品だが用意している。】
「なあ?・・・その変身ブレスレットはまさか戦闘中に壊れるなんて無いよなぁ?」
【・・・・・・】
「沈黙は肯定と受けとるぞ!」
【だって・・・しょうがいない!
大急ぎで製作したんだから・・・本来、自分専用にじっくりと作る予定だったんだから。】
「・・・まあ、そういう事情ならしょうがいないな・・・耐久力は最低限確保しているんだろうな?」
【サッ(目を反らす)】
「まさか・・・あの怪獣との戦闘にすら耐えるのはあやしいのか?
せめて、それぐらいは保証しろよ!」
【・・・了解!その件はなんとかするよ。】
アワガニさんとピエールは改めて向き合った。
【それじゃあ、“情報共有”“高速思考”の緊急同調を解除して、お前を現実の世界に戻す!あの怪獣は任せたぞ!!!】
「・・・任せたと言われても、この試作の変身ブレスレットのスペックではあの怪獣と戦えないぞ?」
【・・・そうだな、まあ今回はオレが力を貸すよ。お前を通してならあの怪獣を倒せるだけの力がギリギリ出せる。】
「・・・あの怪獣を倒した後の話だが、お前は俺に協力してくれるのか?」
【答えが分かりきった問題
を出すな!
答えは“No”だ!中村姉弟の最低限の援助はしてやるが、こっちもそこまで余裕がない。
未完の試作である変身ブレスレットの情報は既に渡しているのだから、自分で完成させろ!!!】
「ただ単に言ってみただけだ。
それじゃあ、俺は俺で頑張るから、そっちはそっちで頑張ってくれ・・・」
【言われるまでもない!
それじゃあ、行くぞ!】
“高速思考”“情報共有”緊急同調解除!!!
次回の題名は『怪人VS怪獣』です。
一度、やってみたかった事です。
8/23 12:00を楽しみにしてください。




