第54話 選択する者の選択②
【ここへ呼んだ理由?
それはオレの出す選択肢を誤解やごまかし無しで、冷静に覚悟を持ってしてほしいからだよ!】
「3択だったけ?
①逃げる
②人として死ぬ
③あの怪獣を倒せるがお前は化け物として死ぬ
・・・①がおすすめだったな、どうしてか説明してくれよ。」
アワガニさんはローブを再び深くかぶり、顔を隠し、泡に再び座った。
【顔を隠すのはオレは恥ずかしがり屋だから勘弁してくれ・・・
説明だったな・・・まあ、話が長くなりそうだから、お前も腰掛けろ。精神世界でも楽な姿勢で聞いた方が気分的に楽だぞ・・・】
ピエールは近く泡に腰掛けた。バランスボールみたいな物だと思ったら、座る者にとって最適な形に自動で形状変化するのでフカフカのソファーに座っている感覚になった。
「さて、話が長くなると言ってもあの状況であの3択なら、③を選ぶしかマサシ的にあり得ないと思うがどうか?」
【ああ、その通りだ。だからこそここに呼んでまで説明しようと思った。
まあ、ゴチャゴチャ言っても話が進まないから初めから順に説明するよ。
まず、①逃げる・・・・・・あの怪獣の目的はこのオレ・アワガニさんだ。何であの村を襲うかはあの村の龍脈が今現在唯一開いているオレへの通路だからだ。ちなみに龍脈の通路は普通の生物では通れないからね。
これを選んだ場合、あの怪獣の処理はこちらが全てするよ。あの村は壊滅するが村人や光の結界を張っている陰陽師、中村雪とお前はオレの泡で保護するから安心しろ・・・中村さんが言っていた弟もとりあえず保護できたよ。
あの怪獣の処理はそちらが気にすることでは無いぞ。オレの所に来たら始末出来ると断言できる。
ただ、その処理と今後のスケジュールの為、中村雪の帰還はともかく、お前の平和的なスキル開放は断念するしかない。
次に②人として死ぬ・・・・・・・・これは村壊滅を許さず、オレの加護も無く、あの怪獣に特攻をかけた場合の事だ。
これを選んだ場合、奇跡が起きない限り結果は①の村壊滅のみプラスお前の死体が発生する。
もしも、自分の運命が奇跡を呼ぶと思ったらこれを選べばいいよ。
最後に③あの怪獣を倒せるがお前は化け物として死ぬ・・・・・・・・これはお前の潜在能力を強制的にオレが開花させる。
具体的にはオレの力の一端をお前の魂に植え込み、あの怪獣に対抗できる身体にする。
これを選んだ場合、あの村は無事だが、お前は人の理から外れるぞ・・・兵器として生き、化け物と罵られながら死んでゆく・・・それだけの人外の力しかこの場では与えられない。
さて、どれを選ぶ?】
「・・・・・・ごまかしは無しだと、お前は言ったよな?
何故、俺の魂はお前が本当の事を言っていないと叫んでいる?」
頭をガリガリとかきながらアワガニさんは答えた。
【この選択肢に関してごまかしは無いよ。
あえて、話さなかった事をいちいち掘り起こすのかねぇ~~
なら、3択の前に更に選択だ。
オレの心配をするならこの手を握ろ。心配無いと思ったら3択に移れ。】
アワガニさんは立ち上がり、ピエールに手を差し出した。
ピエールも立ち上がった。
「お前の魂は“握るな”と叫んでいるが・・・
あえて断る!!!」
ピエールはアワガニさんの手を握った。
ー“情報共有”全開ー
ピエールはそのログを見た!!!
膨大な情報がピエールの頭の中に流れ込んで来た。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「・・・・・・これ、マジか?」
【マジじゃなければ、オレが情報を出し渋
った理由は無いだろう?
それじゃあ、改めて3択・・・】
「③“あの怪獣を倒せるがお前は化け物として死ぬ”だ!
あの情報を見て、他の選択肢を選ぶなんてあり得ないから!!!」
【では、③を選んだ愚か者よ!
戦場へようこそ!歓迎だけはしてやる!!】
アワガニさんはピエールに1枚のカードを渡した。
カードについては次回8/22 12:00に説明します。




