第53話 選択する者の選択①
第2章の重要な場面なのでシリアスモード!
長くなりそうなので何個かに分けます。
31→ピエール【まあ、こんなうるさい所で“選択”しろと言うのも酷か・・・これはサービスだ。】
自分で言っておいてなんだが、確かに怪獣が唸りを挙げ、結界が軋み、 村人が半狂乱で悲鳴を出している状況で選択を迫るのは詐欺に近いな!
それじゃあ、静かで落ち着ける場所へご案内~~~~~
緊急同調“高速思考”発動!!!
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ピエールside
・・・・・何だこれ!?白い玉が光ったと思ったら、周りの景色が時間が止まったように停止した。俺は体を動かそうしたが動かなかった・・・
【無駄だよ・・・今現在の時点ではお前の意識だけ高速化しているから身体を動かそうとしてもついてこれない。
まあ、そのままだと説明がやりにくいから“説明会場”にご案内~~~
緊急同調“情報共有”発動!!!】
ちょっと!!どういう事だ!?と思ったとたん、景色がミキサーみたいにグルグルバラバラになった。
そして、グルグルバラバラが収まったと思ったら、そこは泡がたくさん浮遊している白い空間だった。
「あれ!?・・・体が動く!」
俺は手をグーパーしながら周りを見回した。
「・・・この現実感の無さ・・・・・これは夢だな!」
【おう!?・・・正解だ!なかなか頭の回転が早いな!!】
俺は身構え、泡の影から現れたローブをすっぽりとかぶっている男を睨み付けた。
【やれやれ・・・そんなに睨んでくれるな、とりあえずお前に害をなすつもりはないよ。ピエール・・・・・・・いや、前世の名前でタムラ マサシと呼んだ方がいいかな?】
ローブの男はおどけた風に浮遊している泡の一つに腰かけて問いかけた。
「!?・・・何故、その名を!?まだ、ユキにも言っていないのに!」
俺は驚愕したが、ローブの男は軽く答えた。
【オレには調査系のズルがある!その程度、調べるのなんて訳ないよ・・・
まあ、雑談はここまでにして本題に移ろう。
改めまして、ようこそ!“説明会場”ことオレの精神世界へ!!歓迎するよ。】
「ここがお前の精神世界?・・・・・・ん!?そもそも、お前は何者だ!?」
ローブの男は少し驚き、コツリと頭を叩いた。
【アーー!すまん、自己紹介を忘れていたよ。
それじゃあ、改めましてオレは“中村雪”の臨時保護者にして“ピエール”の平和的なスキル開放を約束した異世界転移者だ。
これから名乗る名前はナイショで頼むよ!オレの名前はマサシ、タナカ マサシだ!!!】
そうローブの男が言うとかぶっていたローブを剥ぎ取り、日本の現代風の服装を着た30歳位のおっさんが現れた。
「!!・・・」
【異姓同名で、顔は多少は似ているがオレはブサイク、お前はハンサム。
だが、魂の質はほぼ一緒である・・・
IFの世界パラレルワールドの違うルートのマサシだよ。
まあ、区別と隠蔽を兼ねてオレは“アワガニさん”と名乗るよ。】
「!?◇◆*+●:!・」
俺の中ではパニックが発生した。もう一人の俺?何で?どうして?何故だ???
【・・・・・礼儀と説明を兼ねて自己紹介したがやっぱり混乱したねぇ~~。】
タナカマサシは立ち上がり、俺にチョップをかました。
【オレの正体がどうあれ、お前には関係無いよ。ただ単にお前の“覚醒”が出来ると言うだけの事だ。】
俺は“覚醒”の言葉にハッとなり、顔をバシバシと叩いて思考をはっきりさせた。
「・・・確かにこの状況でそんな議論をしても無駄だったな・・・唐突な事で驚いたよ。
ただ、お前が嘘を言っていないと確信できるのはやっぱり同じ魂を持っているからか?」
【ああ、そうだ。・・・ついでに言っておくがお前の過去にも未来にも“オレ“は居ないぞ。居たらどちらかが覚えているはずだからな。】
「ああ、その気配がないという事はオレ達は他人じゃないけど自分でもないややこしい関係だという事だ。
まあ、難しい事は棚上げして本題に移ろう。
何故、俺をここへ呼んだ???」
ありがとうございます。
次回は8/21 12:00に更新します。




