第52話 助けを呼ぶ声
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「助けてよ!田中さん!!!」
オレが見た光景は夜の月の光によってはっきり見えたのは、50メートル級の山並に大きなドロオオカミがザンタローズ村を包む光の半球体の結界を食い破ろうとしていた姿だった。
オレとユキとピエールはユキが飛び降りた崖の上にいた。
31→ユキ【・・・この光景を見てオレにどうしろと?】
とりあえず、“分析”をかけて状況確認はするが・・・
ーーーー!ーーーー・・・
「!?・・・ようやく来てくれたね!!田中さん!!早くどうにかして!!!」
31→ユキ【いや、話を聞こうよ!オレがどう対処しろと?】
ーーー・!ーーー・!・・・
ユキは困った顔で思案した。
「それは・・・・・あのバブルパールボムを・・・」
31→ユキ【泡真珠ボムではあのデカ物・犬の怪獣に有効なダメージを与えるなら千個、殲滅する気なら万個要るよ。当然、そんな数は用意出来ないよ。】
ーー・イ!ーー・テ・・・
「じゃあ!・・・あの真っ黒な狼を倒した・・・」
31→ユキ【スペルの事?・・・残念ながらこの状態ではあの怪獣に通用するスペルは撃てないよ。】
ー・シイ!ー・・テ!・・・
「じゃあ、どうすればいいの?」
31→ユキ【いや、逃げろよ!・・・あんなモノから逃げても恥ではあるまい、それとも何か?逃げられない理由でもあるのか?】
ー・シイ!ー・ケテ!・・・
「ある!!・・・理屈はあたしにも分からないけど、この村があの怪獣に襲われたら、弟が死ぬと確信できる!!!だから・・・田中さん!助けてよ・・・」
31→ユキ【・・・他力本願だな・・・まあ、あんな相手ならしょうがないかぁ~・・・おい、オレをピエールに渡せ!】
ールシイ!ー・ケテ!・・・
「へ!?・・・・・・・何で?」
31→ユキ【この状況を打破するためにズルで覚醒させようかなぁ~と思ってよ・・・・・
あっ!ちなみにお前さんを覚醒させても、現時点ではあの怪獣に有効打すら撃てないので諦めてくれ!
そして、ピエールが覚醒を拒んでも非難するなよ!それは人生を左右させる選択だからな・・・
それでピエールが覚醒を拒んだ場合、さっさとその場を逃げろ!お前さんの弟はオレがどうにかするから・・・】
ールシイ!ースケテ!・・・
ユキは祈るようにピエールに泡真珠を渡した。
「ピエール・・・・・・・・・お願いします。」
「うん?・・・・・・おい、ユキとどんな話をしていた?あの化け物はどうすれば倒せる?」
31→ピエール【まあ、焦るな!お前には選択をしてもらう。
①逃げる
②人として死ぬ
③あの怪獣を倒せるがお前は化け物として死ぬ
さあ、どれ?・・・・・オレのおすすめは①だけど?】
クルシイ!・スケテ!・・・
「冗談・・・では無いようだな?
選択する前に答えてくれ。
あの陰陽師の言葉ではお前はこの村と関係無い所にいるみたいだけど、何でこんなことをしてくれる?」
31→ピエール【はぁ~・・・・・やっぱり、あの陰陽師が絡んでいたか・・・
まあ、それは今はいいや!質問の答えは単純に根負けだよ・・・】
クルシイ!タスケテ!・・・
31→ピエール【あの怪獣から助けを呼ぶ声が絶えず聞こえたからさ・・・
オレはあの怪獣をどうにかすると選択したが。
お前はどうする?】
ありがとうございます。次回は8/20 12:00に更新します。




