第44話 地獄へようこそ
ユキside
あたしは走る・・・
森の中をどう走ればいいのか知っている・・・
あの真っ黒な狼がアキラにたどり着く前に殺す!!!
その為にはどうすればいい?
・・・武器だ!あたしを襲った小鬼を吹っ飛ばしたバブルパール!!!
「ワイズマン・アイテムボックスオープン・バブルパールボムありったけ出して!!」
そう言うと黒い穴が開き、『爆』の文字が入った真珠が二つ、あたしの手の中に落ちてきた。
「ちょっと!・・・田中さん!!爆弾はもっと無いの?・・・ねえ!聞いている!?」
[ザーーーーー・・・い!応答しろ!・・中村さん!!]
「田中さん!何!?」
[・・・ようやく繋がったか・・・何かノイズが発生して通信出来なかったよ。
ところでどうしたの!?急に飛び出して?]
「どうしたのもこうしたのも無い!!!実は・・・(弟を襲う狼がいる。何故かその狼の場所が分かるから今すぐに潰しに行く。だから、その為のアイテムを頂戴!と言っても田中さんとっては意味不明の言葉になってしまう・・・どうすれば???)」
[??・・・『実は』?もしかして・・・まあいいや、要点だけ聞く。
何がいる?武器?道具?情報?]
「話が早くて助かる!!!あの爆弾はもっと無いの?そして・・・」
あたしは肩で息をしながら立ち止まった。
「高い所から落ちても大丈夫になるアイテムとあたしの目の前の村を襲っているモンスターを調べられる?」
あたしの目の前には無数の煙が上がっている村が崖の上から見える。
[えーと、事務的に答えるよ。
・泡真珠ボムはアイテムボックスの中にある分で品切れ。
・ゆっくりと降下する為のアイテムは泡真珠パラシュートがあり、キーワード・パラシュートで起動する。
・村を襲っているモンスター?は今から調べるよ。
で、こっからは個人的に言うよ!
少し待って「ゴメン!待てない!!」]
あたしは崖から飛び降りた!!!
「ワイズマン・アイテムボックスオープン・バブルパールパラシュート!!!」
落ちて行くあたしに付いて来るように黒い穴が現れ、あたしの手の中に『傘』の文字が入った真珠が落ちてきた。
「キーワード・パラシュート!」
『傘』の文字が入った真珠から白く幻想的なパラシュートが現れて、あたしはゆっくりと空中を降下して行く。
あたしは降下しながら村を見た。
村の中心の二ヶ所に黒い影が殺到しているのを発見した。
(アレハ・・・マズイ!!!)
あたしは危機感に従ってバブルパールボムを二つ全部、その場所に投げた!!!
二つの真珠が二つの群がる場所に着弾すると「キーワード・ボム」の言葉で爆発した。
そして、あたしは地上に降り立った。
[あれは・・・まさか!?・・・・・ありえない!?そんな!!!]
「田中さん?・・・どうしたの?」
[ハッ!!・・・中村さん!そこから動くな!]
「ッ!それは聞けない!!あたしは・・・」
[んじゃ、衝撃に備えろ!]
「へ!?」
真珠が雨のように村に降り注いだ!!!
『キーワード・ガード』とピエールの声が響き渡る!!!!!
村のあちらこちらに形成されて行く大量の泡に対して、動くなと言われた場所から少し動いたあたしは吹き飛ばされ、尻餅をついた。
あたしが吹き飛ばした黒い影達は再度群がろうとしたが、ピエールの投げた真珠によって発生した大量の泡に押し流されて、吹き飛ばされたあたしの目の前に集結した。
黒い影が集結した姿は夢で見た真っ黒な狼になった!!!
あたしは身構えたが武器が無い事に気が付いた。
「田中さん!!!何か武器を!!!!!!」
[あー、中村さん。そいつらの関して調べがついた。]
「そんな事より今は武器を!」
真っ黒な狼は三匹いるが、ドロッと表面が溶けたと思ったらあたしにすごいスピードで一斉に襲いかかって来た。
あたしは反応できずに立ちすくんでいたら、空から白い光が直下に落ちて来て狼の一匹に激突して白い粒子に変えた。残り二匹の狼はその余波で吹き飛ばされた。
落ちて来たのはピエールと話していた泡の蟹だった。
[そいつらは邪気モンスター・・・オレの敵だ!!!これから先は手を出さない方が良いぞ!巻き込まれて死にたくは無いだろう?
さて、泥狼ども!聞こえていないだろうけど、一応言ってやる!!『処刑場にようこそ!同情だけはしてやる!!!』]
ありがとうございます。
次回は8/12 12:00に更新します。




