第34話 中村 雪
ユキside
【ハイハイ、どちら様?オレは田中ですけど、何か助けになれますか?】
・・・・・頭の中で言葉が響いている!?
幻聴?
【返事が無い・・・・・・・ただの悪戯だったようだ。】
「ちょっと、待って!!誰か知らないけど助けて!!!」
あたしは森の中を走りながら返答した。
【助けてって言われても、オレはそっちの状況がわからないですけど?】
「えーと!あーと!!そのつまり!!!」
あたしはこっちの状況を知らせようとするが、うまく言葉が出てこない(泣)
【は~、かなり混乱しているみたいだな。オレが質問をするからそこから選ぶ形でいいか?】
「うん!それでお願いします!!」
【それでは①モンスターに襲われている・・・「①です!」了解・・・それではこの言葉を復唱してくれ、『ワイズマン・アイテムボックスオープン・泡真珠ガード』っと。】
「?・・・何で?」
【時間が無い!その言葉をお前さんが言えば、その状況を打破できる道具が現れるから早く!】
「うん!分かった!!・・ワイズマン・・・・・【アイテムボックス】アイテムボックス・・・【オープン】オープン・・・【泡真珠ガード】バブルパールガード!!」
拙くあたしがそう叫ぶと目の前に黒い穴が現れて、『守』の字が入った真珠をあたしの手に落とした。
それに驚いたあたしは、足を縺れさせ、転んでしまう!
後ろから迫った二つの影は好機だと判断して、ユキに襲いかかった!
【キーワード『バリア』】
あたしは反射的に頭の中で響く言葉を呟いた。
「きーわーど・ばりあ」
その言葉を発すると、手の内の真珠が光り、ユキを中心とした大きな泡が現れた!
襲いかかった二つの影はその泡に弾かれて吹き飛んだ。
しかし、二つの影・二匹の小鬼はそれに懲りずに再度襲いかかった。
二匹の小鬼は何度も泡に爪を立てて、泡を壊そうとしている。
「あっ・・・来ないで・・・(ガタガタ)」
あたしは現実離れした光景にもう思考が限界だった。
【・・・あら~、もういっぱいいっぱいみたいだな。この状態で戦えとは言えないな。
仕方ない!切り札を使おう。
おい!聞こえるか?】
「えっ!?何?・・・あたしここで死ぬの?」
【死なないためにこの言葉を復唱しろ
『ワイズマン・アイテムボックスオープン・泡真珠ボム』っと。】
ゴブリンが強いパンチを泡にぶつけた。
泡は大きな衝撃が走り、大きく波打った。
「ヒッ!?・・・・・ワイズマン・・・グス(涙)・・・アイテムボックスオープン・・ヒック(泣)・・・バブルパールボム!!!」
再び、黒い穴が現れて『爆』の文字が入った真珠がそこから落ちて来て、ユキの手に落ちた。
【よし!それ「もう嫌だ!・・・何であたしがこんな目に会わなくちゃいけないの?あたしが何をしたにさ!!」・・・・・おい!甘ったれるな!】
「でも・・・・・」
【でももテロも無い!このくそったれの世界では『何もしない』をしていたら、殺されるだけだ!】
「クロス・・・ディア?」
【ちっ!?・・・お前、地球出身か?】
「ここは地球じゃないの?」
【ここは異世界クロスディアだ!ぼ~としているとモンスターに食われる世界だ。】
「そんな・・・・・助けてよ(悲)」
【・・・すまんが、オレも余裕が無いんだ・・・こうやってオレは声とお助けアイテムを送るしかできない。
だから、お前が・・・お前自身がその場を切り抜けるしか無いんだ!】
「・・・・・分かったわ!見苦しいところを見せてごめんなさい。」
【いや、いきなり異世界に飛ばされてモンスターに襲われたら、心が折れるのはしょうがないよ。】
「え~と、田中さん!あたしはユキ、中村 雪です。何をすればいいですか?」
【・・・その真珠をモンスターに向かって投げて、キーワード『ボム』と叫んで!】
ユキは言われた通りに真珠をゴブリン達に投げた。
「キーワード・ボム」
真珠は破裂して、大きな爆音が響き、閃光が辺りを包む。
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次回は8/1 12:00更新します。
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