第30話 パラシュート
「小僧!貴様・・・何をしたんですぞ!?」
青い蛇になったネークスは灯り泡が大量に浮遊する部屋でマサシ②が宿る石像に問い掛けた。
【何って、オレ専用の世界を救う為の呪法とやらを誤作動させただけだけど?】
案内妖精である元女神であるルプは静かに宙に浮いていた。
「誤作動!?あり得ませんなのです!?神々が用意した物が、ただの人間である貴方にどうこうできるはずが無いなのです!!」
【ただの?・・・夜鬼眼の未来視で情報を得たオレをそんな評価とは、残念さがにじみ出ているぞ。ルプ?
それにオレらは大した事はしていない!
まず、オレが死んだ後、邪気に侵食された堕ちた神獣『闇玄武』が目覚め、オレの魂を吸収して巨大な浄化泡製造機にその神獣がなる手筈だったことは未来視によって知っていた。
なら、オレが生き残る為にはその『闇玄武』をどうにかしないと、どのみち終わる・・・だったら、さっさと片づけた方が良いと判断した。
そして、運が良い事にその神獣はこの邪気封印ダンジョンの最下層地下30Fにいる事を夜鬼眼の分析が教えてくれた。ついでにそれを目覚めさせないと神々の封印が邪魔で小細工が出来ない事も判明した。
だから、オレは夜鬼眼の分析を使って、その神獣の起こし方やその後の対処法を調べあげた。
んで、闇玄武を起こす為にこの封印ダンジョンの龍脈に魔力注入を行い、強制的に神獣を目覚めさせた。
他の世界の管理神がその神獣の目覚めを察知し、呪法が発動したと判断したんだろう。】
「フッ(笑)・・・それに何の意味があるですぞ?闇玄武が目覚めたら貴様の魂を求めるようになっているですぞ!
貴様がやっていることはわざわざ、自分で神獣の生け贄になるということですぞ!!」
【いやだって、闇玄武が目覚めないと小細工も出来ないじゃないか? 】
「それはどういう事なのです?」
ドン!ドン!!ドン!!!
地面が大きく何度も大きく揺れた!
【どうやら、悠長に説明してやる時間は無さそうだ!】
③よ、手筈通りによろしく。
『泡の精霊達よ、我に力を与えたまえ、泡よ、万物を包め』
《中級包泡》
泡が部屋全体を包む!!
その直後、大きな崩壊音が響く!!!
『ドガン!ドゴン!!ズドン!!!』×30
崩壊音がしばらく続いたが、マサシのいる部屋は揺れるだけだった。
崩壊音が止んだ・・・
「ふん、どうやら完全に闇玄武が目覚めたようだな!小僧!いよいよ、貴様の最後ですぞ!!!」
【戯言は良いから衝撃に備えた方がいいぞ?
『包泡』解除!!!】
マサシがそう言うと部屋は崩壊してた。
部屋の下は巨大な空洞が広がっていた。
マサシはスペル創造を発動!
『泡の精霊達よ、我に力を与えたまえ、物を支えゆっくりと優しく降ろす泡』
《中級降下傘泡》
マサシの石像は白い泡に吊るされ、ゆっくりと降下していく。
「なっ!?どういう事ですぞ!?何故、あの部屋の下が巨大な空洞になっているですぞ?
あの崩壊音は闇玄武が登って来る音ではなかったはなかったのかー!!!!!」
【残念だったね・・・じいさん、あの崩壊音はオレが先手を打って、ドラキ家の城を自壊させる事でこの封印ダンジョンを崩壊させている音だったんだ!!】
ルプとネークスは魔力を纏い、マサシと共にゆっくりと降下して行く。
「マサシさん・・・・・まさか、この程度の小細工で闇玄武を倒したと思っているなのです?」
【まさか!これはただのバトルフィールドの形成だよ。
この程度で死ぬのでは神獣は名乗れないでしょう!】
マサシ達は最下層に着地した・・・
ありがとうございました。
次回は7/15 12:00に更新します。




