プロローグ その弐
「単刀直入に言います。水の勇者まさし様、私の世界クロスディアを救ってください。」
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「単刀直入過ぎませんか?」
「それでは貴方に与える力の説明を『ちょい待てや!』・・・何ですか?」
「いきなり与える力の説明に入るとはどういう了見ですか?それとも、何か、時間が無いからはや回しでやっているのですか?」
「いえ、ここの空間にいる限り、時間軸が外れているので時間はたっぷりとありますよ。」
「それじゃあ、何で、勇者を引き受けるか、否か確認せずに与える力チートの説明から始めようとしたんだ?」
「貴方の前に来た三人の勇者様はお願いしたら、すぐに承諾してしくれて、すぐにチートの説明をしてくれと言っていたので、貴方もそうなのかと。」
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「三人の勇者?何か今、新たに不安になる情報が出て来たんだけど・・・とりあえず長話になりそうだから、椅子と机を2つ、この空間に出してくれる?」
「??? 解りました。」
女神フィリアが指パチンとすると椅子と机が現れて、二人は向かい合って座りました。
「まず、三人の勇者とはどういうことだ?一番無難なパターンとして、私がクロスディアに召喚された四番目の人だと思いたいが。」
「いいえ、クロスディアに異世界人を召喚するのは50人以上だと聞いています。今代は『火』『水』『風』『土』の勇者が召喚される手筈になっているはずです。」
「!!、更に待て!『聞いています。』『手筈になっているはずです』って何か他人事のように聞こえるのですが。」
「ええ、召喚された勇者の数は先代から聞いた事ですし、召喚に関してクロスディアの住人がするのが伝統で、私の仕事は勇者に力を与えることです。」
「先代?どういうことだ?」
「そちらの人間社会と似たようなモノです。世界管理は大変なので複数の神が交代で行っているのです。ちなみに先代は任期満了ではなく、子供を産むと言う事で世界管理を引退しました。」
「・・・会社経営みたいですね。」
「そう考えてくれて結構です。」
「それではそれに関しての質問、クロスディアの世界管理をして何年?先代から勇者召喚システムに関する引き継ぎはあったかどうか?」
「世界管理に関しては先代が勇者帰還させた直後に引き継いで50年、引き継ぎに関しては先代の女神は先代四勇者の一人とバカップルになって色ボケしていて引き継ぎどころの話ではなかったのです。でも、勇者召喚に関するマニュアルはありますのでご安心を。」
・・・
「了解、背景はだいたい解った。それでは質問する、まず、クロスディアの世界はどんな世界だ?」
「人間族 獣人族 魔族 精霊族 竜族を中心とした多種族が住まう、魔法文化の世界ですね、文化レベルは貴方の世界の中世辺りです。」
「何で勇者召喚が必要なんだ?」
「クロスディアの位置は各世界の配置の関係上、淀んだ気『邪気』が溜まりやすいのです。自浄作用が間に合わないので、神々の取り決めにより、勇者召喚が許可されたのです。ちなみに私が召喚せず、クロスディアの住人が行うのは世界干渉を最低限にするため。私が直に召喚すると天変地異レベルのチートが付く勇者が誕生していまう、世界を救うどころか世界崩壊させてしまうため、神々の規則でも禁止されている。ついでに教えますが、この世界と世界の狭間で私に会ったのは勇者召喚の必須プロセスで、必要最低限のチートを与えるためです。」
「勇者は邪気に対して有効なの?」
「はい、邪気は時代毎に形を変え、魔王になったり、大魔獣になったりしますが、勇者召喚の術式にその時代の邪気に対して有効な能力適正を持った者が選らばる仕掛けをしています。ここから先は貴方が勇者を承諾してからにしましょう。」
「えっ!勇者拒否できるですか?」
「はい、今の段階なら私の権限で選び直しができますので。これから先の説明は勇者になる気がない人には無用の説明なのです。」
「ちょっと待って」
こんな機会、もう無いかもしれない。もう少し話を聞いても良いかな。
「その説明を聞いた後でも、勇者拒否できますか?」
「はい、できますよ。」
「ではとりあえず、承諾保留のままで、その先の説明、どうぞ。」
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ここで!ここで!拒否していれば、あんなことにはならなかったのかな?
頑張って書きます。