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彼女を求めて召喚魔法⑥

 ノースは召喚獣を呼ぶつもりで誤って異世界から人間を召喚してしまった。

 とりあえず、人間で女の子なので彼女にするには申し分ない。


「君のいた所って、大陸に大きな剣が刺さってた?」


「エッ?」


「じゃあ、地下に巨大な都市があった?それとも高速で走る鉄の車があった?」


 ノースは昔見聞きした世界のことを思い浮かべて聞いてみる。


「自動車のこと?それならありました。それから高いビルが沢山あって。まあ地方に行くと、そんなこともないけれど」


「魔法は?魔力はあった?」


「そんなのはなかった。ライトノベルとかではそんな話があったけど。それから、勇者の異世界召喚とか」


「君が妙に落ち着いているのは、そういった知識があるからかな。しかし、魔力のない世界か。それはちょっと難しいな」


「難しい?」


「君を元の世界に帰すことだよ。魔力がある世界なら無理やり今帰すことも出来るけど、魔力のない世界じゃ俺も無理に帰すことができないんだ。まあ、方法はないわけじゃないから、そのうち元の世界に帰して上げるよ」


「はあ」


「とりあえず、俺の彼女になって、その後は異世界を観光して帰るつもりでいてよ」


「わかりました。ただし、彼女というのは……」


「もちろん今はフリでいいから。よろしく」


 ノースはそれからアキナの質問に答える形でこの世界のことを語り始めた。


 この世界は二柱の神によって作られたこと。一柱は創造の神。一柱は破壊の神。


 創造の神によって人間たちが、破壊の神によって魔物たちが創られたという。


 そして、魔物は人を襲うため、人は世界各地で魔物の駆除をしている。その元締めが冒険者ギルドであること。


 最後に世界には魔力が漂っており、人自身にも魔力が宿っていること。人はその魔力を使って魔法を発現していることを教えた。


「まあ、人によって説明の仕方とか違ってくるけど、だいたいがそんな所。今話したことを『精霊』という言葉を使って説明する人もいれば、『他の神々』という言葉を使って説明する人もいる。

 価値観や宗教観の違いが主な原因だけど、根本は変わらないから気にしなくていいよ」


「魔法は?魔法を見てみたいです。ノースさんは使えますか?」


「使えるけど、俺が使うと一面火の海になっちゃうからね。使わないんだ」


「そうですか。ノースさんはとてもすごい魔法使いなんですね」


 アキナが関心して言う。


「君は、なんていい子なんだ!」


 ノースが思わずアキナの手をとり喜んだ。


「俺の知り合いの性悪ギルド職員なんか、俺が説明しても魔法が使えないと決めつけているんだ。

 それを君は疑いもせずに信じてくれる。

 こんなに嬉しいことはない!


 ……いや、君の態度が本来正しいものであって、カミラの態度が話にならないものだということは分かっては居るんだけど、いつもあいつと一緒に酒を飲んでいると、きっと俺もどこか性格が知らず知らずのうちにひん曲がってしまっていたのかもしれない。

 俺は君に出会えて本当によかった。

 アキナ、この調子で彼女役もよろしく頼むよ」


 ノースはご機嫌でアキナの手を握っている。

 彼女を呼び方もいつの間にか呼び捨てだ。

 アキナは若干引き気味で笑っていた。


「さあ、これから酒場に行こう。そしてカミラにアキナを見せつけてやろう!」


 ノースはノリノリで酒場へと出かけていく。

 アキナは戸惑いつつも、彼の背中を追って酒場へ向かった。


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