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B級冒険者の仕事①

セイ・アーレンとグルダッド・スペース。

ギルドのB級冒険者で、ノースとアキナの手伝いをしてくれるという。

しかも、討伐料は全てアキナに分け与えるという、とても胡散臭い内容で。


「ノースさんの知り合い?」


「いいや、全く」


しっかりと自己紹介してもらった後でも二人とノースの関係がどういうものか、ノース自身わからなかった。

ノースは5年間もギルドにいるだけあって、彼を知る人は少なからずいた。だが、いつまでもE級である彼にほとんどの人が見向きもしていなかった。

今更話しかけてくるような変人がいるはずもない。


「何言ってるんだ。この前、俺の命を助けてくれただろう?」


グルダッドが胸を張って親指で自分を指す。


「すごい、ノースさん。人助けしたなんて」


アキナはが目をキラキラさせて言う。

褒め方が若干わざとらしいのは、気のせいだろうか?


「まあ、俺は常々人助けをしているから、いちいち誰を助けたかなんて覚えてないよ。ただ、俺がいつも助けてるのは依頼者であって、冒険者を助けることはほとんどないんだが」


「ほら、この前クリスタルバッファローが出ただろう。俺はあれに怪我を受けたんだ。セイは俺がもう死ぬかと思ったぐらいの怪我をだったらしい。そこにあらわれたのがノースさんだったんだ。

ノースさんは俺に500回もヒールをかけてくれて助けてくれたんだ」


グルダットの説明でノースもようやく彼らが誰かということを思い出した。


「あの時お礼になんでもすると言ったけど、ノースさんが望む彼女を用意することはできなかった。せめて他のことで何か役立つことがあればと思っていたけれど、俺たちの出番がやってきたな」


セイがニヤリと笑った。


「じゃあ、2人にお願いしようか」


ノースはそう言って2人と一緒にB級の仕事をおこなうことになった。



「いいか。討伐の仕事は準備が9割、現場1割で成功すると言っていい。つまり、しっかり準備をすれば、討伐の失敗は限りなく防ぐことができるんだ」


早速、グルダッドは討伐についての話を始めた。


「まず、今日の討伐する獲物を決めるんだ。今回は、このホーンラビット3匹でいいか」


そう言うと、掲示板に貼ってある依頼をとってカミラの所へ渡しに行った。


「これで依頼予約完了だ。こういうことをしない冒険者もたまにはいるけど、こうやって事前予約をしておけば、何かあった時にギルドが手伝ってくれるから絶対したほうがいい。それから必要なものの準備だ。

アキナちゃんは王都から出たことはあるかい?」


「この前。ノースさんと店員さんと一緒にクリスタルバッファローを倒した時に」


「へえ。その時は何を持って行ったの?」


「う〜ん、赤いマントと包丁ぐらいかしら?」


要領を得ない答えにグルダッドは肩を落とす。


「そんなんじゃあ、誰に何を言っても君たちがクリスタルバッファローを倒したなんて信じないよ。いいかい、王都周辺は魔物が出やすいと言っても、それでも討伐するには10キロ以上歩いて討伐場所に行かないといけない。

一つの魔物を討伐するにも、だいたい半日から一日かかることがある。今回はホーンラビットだから、一日もあればいけるだろう」


「この前はそんなに移動した気はないけど……」


アキナはグルダッドの説明を聞きながら呟いた。


「何言ってるんだ。俺たちがクリスタルバッファローとあった場所も王都から15キロは離れていたぞ。帰る時は時間がかかっただろう?」


「そういえば、帰る時はとてもゆっくりと帰ったきがする」


クリスタルバッファロー退治の時、行きはノースたちが酔っ払っていたのでアキナが引きずって王都の外まで出てきた。きっとアキナはチートの力でスタタッとそこまで来たのだろう。


「とにかく、準備としてまず必要なのが水と食事だ。水は皮袋があれば近くの宿屋で入れてくれるし、携帯用の食料はすぐに手に入るだろう。それから、実はみんなが忘れていて、大切なものはちり紙だ。

トイレはどこでもできるけど、その後のちり紙がどうしてもないからな。ちゃんと持っていく必要がある」


「はあ」


「それから、防具と武器も必要だ。これから市場に買いに行って……」


「ちょっと待て」


「ノースさん、どうしたんだ?」


「悪いが俺は今防具を買うだけのお金を持ってないぞ」


「じゃあ、ギルドで借りるといい。俺たちが使っているのと比べると、格段に性能は落ちるけど、今日はホーンラビットを倒すだけだから、それでもいいだろう」


グルダッドの声を聞き、セイは奥から使い古した防具を取り出してきた。後は刃こぼれのある剣と古びたナイフ。

アキナは早速防具を装備してみる。

剣道の胴垂と籠手にヘルメット。

それがアキナが始めて防具を身につけた感想だった。


「なんかへん」


それに、人のものだからか、防具自体に臭い匂いがこびりついている。


「グルダッドさん、これって無しじゃだめ?」


「何言ってるんだ。防具が無ければすぐに怪我をしてしまうよ」


グルダッドは次に周辺地図を広げ始めた。


「後はどこにホーンラビットが出るか見当をつけて出発するんだ。

この前ホーンラビットが出た所はこことこことここだ。この中でここがまだまだ出現しやすいはずだから、ここに行くとしよう」


「ちょっと待て。どうしてここが出やすいんだ?」


「ギルドの冒険者の話からそう推測したんだ。こっちも多分多く出るだろうけれど、ここは他の冒険者が大量に狩ったって話も聞いているしね。こちらは出るかどうかわからないし、俺たちがクリスタルバッファローに会ったのもこの辺りだから、できれば避けたい。ノースさんは他の所がいい?」


「いや、そこでいい」


「じゃあ、少し休憩して、さっそく狩りに出よう」


グルダッドの言葉で10分後、ノースとアキナ、そしてセイとグルダッドはホーンラビットの討伐へと向かった。

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