↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/26

VSクリスタルバッファロー③

「大丈夫ですか?」


 店員が心配そうな顔をしてアキナをのぞき込んだ。

 アキナはうなずくと、おそるおそるクリスタルバッファローを観察してみる。

 どうやらクリスタルバッファローはまだ死んでいないらしく、ピクピクと足が痙攣していた。とはいえ、このまま放っておいても死ぬのは時間の問題だ。


「店員さん、早く」


 アキナは突然思い出したかのように店員を呼びつける。


「今、包丁でグサッて刺したらこの子も死ぬと思うの。そしたら、討伐したのは店員さんになるわ」


「でも……」


「私たちの目的はそれだったはずよ。さあ、思いっきりやっちゃって」


 アキナに促されて店員はクリスタルバッファローの首根っこに包丁を突き入れた。

 包丁はあっさりと肉に食い込み、クリスタルバッファローを絶命させた。


「やった……」


「よかったね。これでカミラさんと結婚出来るね」


 アキナが嬉しそうに言う。

 店員もホクホク顔で喜んでいる。


「じゃあ、帰ろうか」


 アキナの言葉に店員が頷き、彼らはその場を立ち去ろうとした。


「ちょっと待った!!」


 草原に怒声が響く。

 

「あっ、ノースさん」


「ノースさんじゃねえよ。今絶対俺の存在を忘れてただろう?」


 ノースはボロボロになったマントを引きずってアキナの元へきた。

 あれだけ吹っ飛ばされたにもかかわらず、外傷らしい外傷は見当たらない。ただし、ローブは土まみれになっている。


「だって、ノースさん役に立たないんですもん。あの牛さんだって、私が倒したのよ」


「まあ、それはそうだけど……」


 ノースは言葉を濁す。

 断固抗議をしようと思っていたノースだったが、どうも言い切れない。

プリプリと怒るアキナを見て、理不尽に感じながらも可愛いと思ってしまうのはアキナが曲がりなりにも自分の彼女だからだろうか・


「それにしても、B級冒険者が怪我をするような相手にグーパンチ一発って、アキナは強いなあ」


「へへへっ。きっとチート能力よ。異世界召喚だからチートが入ったんだわ」


「でも、俺、彼女にするためにアキナを呼んだのに、こうも強いとかかあ天下になっちゃうよ」


「何?」


「いや、何も。取りあえず店員さん、ちょっと包丁を貸してくれないか?」


「はあ、でも包丁は料理人の魂ですし……」


「大丈夫、すぐに返すから」


 ノースは店員から包丁を受け取ると、さっとひと振りしてキラキラ光る角を切り取った。


「こいつの中にバラを入れると……、ほら、これであいつにプロポーズしな」


 そう言ってノースは角に赤いバラの入ったオブジェを店員に渡した。


「キレイ……」


 アキナはぽおっとそのオブジェに見とれる。


「『情熱的な愛』を意味するバラ。それをクリスタルバッファローの角に入れることによって、魔力が花の隅々まで行き渡り、永遠に枯れないバラとなる。つまり、これは『永遠の愛』を意味するオブジェとなるわけだ。どうだ、ちょっと洒落てるだろ?」


 オブジェを受け取った店員は二人を残し、一目散に冒険者ギルドへと駆け出した。


 後日聞いた話によると、店員は冒険者ギルドの受付前でカミラに求婚し、その場にいた全員を驚かせたという。

 さらにその際に渡したオブジェがクリスタルバッファローの角だと分かると、誰もが目を見開いてビックリしたという。


 それから店員はギルドの冒険者からも一目置かれるようになり、店はますます繁盛したそうだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。