プロローグ
『サウスサウザントマスター』
それは、帝国で知らぬものがいない新しい伝説だ。
彼は金の髪とアメジスト色の瞳を持つ、長身の美男子で、15歳で魔術の奥義を極め、大賢者と呼ばれるようになった。
その後、帝国のこもん魔術師となり、帝国内の腐敗貴族の一掃し、政治改革を経て、己が地位を確実のものとした。
彼は皇帝からの覚えもよく、第一皇女との婚約話も持ち上がる。
二人の仲はプラトニックながら周囲が恥ずかしくなるぐらい仲が良く、幾たびもオペラで二人のラブロマンスが上演された。
そんな明るい帝国を古の邪竜が襲うことになる。
帝国はすぐに討伐隊を派遣した。
当然彼も討伐隊の中に加わり、邪竜と戦うことになる。
「戻ってきたら結婚しよう」と約束をして。
彼はどんな魔法でも扱うことが出来たが、とりわけ召喚魔法と付与魔法が得意だった。
召喚魔法とは東西南北4門と12方位12門、そして中央の計17門から異界の獣を召喚し、戦わせるものだ。
門から召喚される獣は術者の魔力量によって変わってくるが、彼は最高級の召喚獣を従えていた。
また、付与魔法とは何の変哲もない武具・防具そして人に対し、魔法の力を与えるものだ。
何の変哲もない剣の斬れ味を良くしたり、火属性を加えたりすることはもちろん、身体能力を強化することも出来る。
彼は自分が召喚した獣の能力も付与魔法として使えることができた。
彼は邪竜との戦いで南門を開き、フェニックスを召喚した。
そして召喚したフェニックスを討伐隊全員に付与し、一時的に死んでも生き返る不滅の軍団を創り上げた。
そして討伐隊は邪竜との戦いで1000回死に、1001回生き返って見事邪竜を討伐した。
この頃から彼は『サウスサウザントマスター』と呼ばれるようになる。
その後、邪竜が帝国を襲ったのは世界の果てにある魔国の魔王が仕掛けたことだと判明し、彼はそのまま魔国に赴いて魔王を成敗した。
魔王は自身の巨大な魔力を制御しきれず、世界を混乱に落とし入れていた。
彼は戦いの合間、正気に戻った魔王に対して説教をし、彼の魔力の半分を引き受けることを申し出て、魔王と魔国を平定に導いた。
魔王の暴走。
それは邪神が関係していたと言われている。
彼は魔王から引き受けた魔力をも使い、次元の狭間へと一人で赴き、邪神と一騎討ちをしたと言われる。
その後、彼がどうなったかは誰も知らない。
ただ、彼はそのまま帝国に帰ってくることはなかった。
物語はそれから5年後のグランディア王国で始まる。