第五章。『終末を司る者』了
"彼"が神殿の祭壇に不思議な形の鍵を掲げる。
「ただいま。といって開けるは我が家の温もり」
"彼女"も華やかな指輪を取り出す。
「我を支えるは喪われし貴方の思い出、貴方との約束」
"組長"もだ。変わった懐中時計を取り出して。
「約束の時。動け」
古ぼけたミサンガを祭壇に捧げる"委員長"。
「切れろ。因縁! 拓けっ! 未来っ!!」
"私"はアイテムを持たない。
「我。友と共に」
「母よ。あなたの思い出。永久に。
私とあなたの願い。『世界』を満たせ」
"呪術師"が首から古ぼけたカメオを取り出す。
その中には"呪術師"と思われる赤子と母親の姿が描かれていた。
血にまみれた『神殿』周囲。きっと先ほどまで惨劇が行われていたのだろう。
死を回避する治療魔法が、死を望む原因になっていたとは皮肉な物語といえる。
「『アンゴルモア』は笑っていたな」それはその少年にして、『神』の名前。
不幸な囚われびとにして、その分身。
「ところで、貴様らは何を願った?」
彼が問いかけるのは『いつものこと』。
神殺しの代償は億の呪いとたった一つの願いの成就。
皆は思い思いの言葉を口にするが、正直『神殺し』を行うほどのものとは思わなかった。
私たちは、『願いを助けること』そのものが願いなのかも。知れない。
「おい。どの部分が戻ってきた? 」
"彼"は問いかける。呪われし者である"彼女"さんの体を手に入れるために彼は旅をしている。
「瞳だ。皮肉だな。こちらのほうが視力が劣るのだが」彼女は苦笑した。
「世界が、美しく見える。醜いものが。醜いモノも。美しく見える」
その言葉に"私"は何を言えばよかったのだろう。
「"彼女"さんは? 」
そういえば。聞いてなかったが。
「私の願いは。ひとつだ」
そう、"彼女"は言い切った。
そう、"彼女"の願いは。いつでもたった一つ。
その瞳の先には。"彼"
「いこう」「ええ」「おうよ」「次の世界が楽しみだねッ 」ふふ。
「ほら。行きましょう」長身の女性に手を引かれ、"私"は微笑む。
「次の世界は『明日に吹く風』。『明日に吹く風』」
大きく開いた光の扉に身を投げると、鼻を突き抜ける風とともに光の奔流が私達を迎える。
その本流の中に浮かぶ人々の笑顔、怒りの表情、悲しみの表情。安寧の瞬間。
小さな世界は。世界達は。繋がっている。
私達は『夢を追う者達』。
誰かの願いを助けるために、『世界』を巡るのが定め。
これにて一旦完結として、"私"の争奪戦は別章にて再会したいと思います。
自サイトでずっとエタっていたこの拙作を応援してくれている皆様に感謝。
また"私"や"彼"たちの冒険をお楽しみに。




