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壱拾
「塔が。崩壊しておる」
『神の塔』が崩壊し、幾多の犠牲者が出た。らしい。
人々はそれでも嘆くことなく、悲しむことなく。
「あはは」
誰かが、また弱きものを戯れに殺した。止める暇も無い。
「あれ? 」
癒しの魔法で生き返らせようとする。その貴族たち。
「下手糞。俺が」「おい。このままだと俺は殺人犯に」
「自分で生き返らせることが出来なければどの道『殺人』で罪に問われ、殺された人間本人が参加する裁判に呼び出されるのだがな」"彼"は皮肉交じりに呟く。
「どのみち。無駄だ」"彼女"は呟いた。
振り回されるニクノカタマリ。この世界で回復魔法が発動することは。もうない。
「いやだああああああああ。死なないでぇええええええええええ」
「いこうかの」「うん」「そうだな」
"組長"。"委員長"。"呪術師"が退出を促す。
いつまでもこのような世界にいては、巻き添えで殺されかねない。
自暴自棄となって殺しあう人々を他所に。私たちはそっとこの世界を去ることにした。




