伍
「面倒すぎ」「もうやじゃ」「やめようよ」
"彼"。"組長"。そして"委員長"が愚痴った。
「気持ちは。わかる」
黒豹の姿を持つ、"呪術師"が微笑み、"彼女"がまた銃をリロードした。
その銃はいつもの狙撃銃ではなく、航空機に搭載するタイプの銃だ。
次々と肉片に変わるこの世界の住民たち。この世界には。この世界には。
『神の塔』を守護する魔物はいない。魔物より厄介な。普通の人間達が。迫る。
笑いの形をした鉄の仮面を被り、曲刀を手に迫ってくる。不死身兵ども。
"彼"と"組長"は刀を抜き、鞘と柄を合わせる。
ガチ。かみ合う音がして、彼らの剣の柄と鞘は連結され、長巻となる。
「いくぞ」「応ッ 」二人の剣士はイモータルに襲いかかった。
二つの長巻が横に一閃され、血の花がいくつも咲く。
イモータルどもの表情は読めない。仮面は笑みの形のまま。
次々と繰り出される剣を武器のリーチと体捌きで交わす"彼"と"組長"。
斬。斬。斬。斬。右に引き、半円を引いて交わしたかと思うと柄頭が飛んで反対側のイモータルの顎を仮面ごと砕く。
更に振り舞う刃は、首を刈り、腕を刈り取り、脚を薙ぐ。『薙刀』の名に相応しい動き。
一度に何人ものイモータルを切り裂く二人の動きには寸分のすきもなく、まるで月光に戯れる死者の皇女の舞のよう。
航空機用の対物銃が唸り、イモータル達を砕いていく。
更に、"委員長"の持つ鎖で繋がった棒が振り回され、"呪術師"の炎が焼き、砕く。
それでも。それでも彼らは立ち上がり、無言で攻撃してくる。
彼らにとって、死こそ喜びで、最大の娯楽だから。
もし、我々が負ければ。"私"たちは身体を何度も切り刻まれて、何度も殺されるであろう。
彼らにとって。死とは喜び。"私"たちのように、何度も死にたくないとは。彼らは思わないのだ。




