弐
「さて、この世界にはもう用は無い」さっさと行くぞと呟く"彼"に皆は首肯する。
もうすこし。いたいのだが。
「不愉快な目に遭うからやめておけ」
"彼女"がそう呟くと"組長"や"呪術師"、"委員長"までもが同意した。
「どういう」どういうことだ。そういおうとしたのだが。
小さな子供が綺麗な服を着た女性にぶつかった。「あ、ごめんな」
びちゃ。
赤い花が咲いた。
「礼儀のなっていない子」
女性は何処から取り出したのか。大きなフレイルを手に愉しそうに笑うと、
その子供の脳をすくって舐めてみせる。
「お仕置きをしないと」
彼女は即座に回復術の詠唱を開始すると、子供の頭部から流れた脳漿や"私"にかかった血液が巻き戻るかのように子供に戻っていく。
陥没した頭がくっつき、べきべきと音を立てて元通りになっていく姿に戦慄した"私"の耳に。
「てぇいっ♪ 」若い、娘の愉しそうな笑い声が響いた。
べき。びしゃ。「やめて」べき。びちゃん。「ゆるして」くちゃ。ぴき「動かないでよ。殺せないじゃない」「いやだ。もう、もう殺して」
ぺきくちゃ、くちゃくちゃ。ぺきべき。
「どうしようかなぁ♪ 」べき。くちゃ。
「な、なんだ。この『世界』は」
震える"私"に"彼"らは「だから言ったのに」と呟いた。
「この世界の人々は死者すら蘇らせる回復術の力を持ち、その力次第で序列が決定する」
下位の者が上位のものに無礼を働いた場合『最終的に殺したり犯したりさえしなければ』如何な罪にも問われないと。
「そんな世界があってたまるか」
震える"私"の声を無視して、熱狂する彼らは子供を許しを請う親共々圧縮粉砕装置に放り込んで見せた。
同じ人間の断末魔と死を求める懇願の声が。ひびいた。
何度も。何度も。
何度も。何度も。何度も。




