陸
「主砲用意ッ! 」"彼"が叫ぶ。
「おうっ! 」「エネルギー充填120パーセント! 」
「1500000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000パーセント」
貯めすぎだ。
「冗談だ」あっさりと呟く"彼女"。冗談でそんなでかい数を口走るな。
この無愛想な首だけ女は笑えない冗談を時々口走る癖がある。
「さっさと撃ってくれッ! 」"呪術師"が叫ぶ。
「ららら~♪ 」唄っている場合か。"委員長"。いや、パニックになっているらしい。
それもそうだ。巨大な触手が『惑星』から伸びてくるのだから。
その触手が吹っ飛ぶ。
「……」「……」「……」「……」「……ウソだろ」
我々の視界に。刀を持って褌一本で泳ぎながら迎撃する"組長"の姿が見えた。ような気がする。いや、いまのは幻であろう。
「発射」
強力な光が"組長"と『惑星』をつつんだ。
振動が『ロケット』内部すら揺らし、大音響となって響く。
『惑星』の最後である。
「"組長"に黙祷」
我々は尊い犠牲の元、生き残ることができた。さらば"組長"。貴様のことは忘れない。
「勝手に殺さんでほしいのぅ」
振り返るといつの間にか茶を飲んでいる"組長"がいた。ちっ。仕留めそこなったか。
「無事だったか」「おう。心配かけたの。"彼女"殿」
"組長"は手をひらひらさせて応えるが。
「ち」
"私"たちは一斉に舌打ちをしてみせた。"組長"は泣いていた。
我々の仲は最悪のようである。
「ふう」
星の輝きを眺め、一人物思いにふける"私"。
「ダレモシンジルナ」か。あれはなんなんだろうか。
あのような連中と記憶がないとはいえ行動を共にして良いものか。
「潮時だな」
私は脱出用ボートがこの「ロケット」に装備されているのを知っている。扱い方も。わかる。
……。
……。
「てめぇは何者だ」
「"私"は……」
宇宙をさ迷う"私"の宇宙ボートを拾った男たちに"私"は。応えることができなかった。
「"私"は誰だろうか」本当にわからない。
「俺たちの仲間だ」髭面の男は言い放った。多分そうなんだろう。
「そうか。宜しく」私は彼の手を握って見せた。
かがやく星の海の中、"私"達を乗せた翼のある帆船は飛ぶ。獲物を求めて。
我らは自由の民。『宇宙海賊』である。




