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異世界冒険奇譚 月狂の歌  作者: 鴉野 兄貴
第四章。誰も信じてはいけない

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 「主砲用意ッ! 」"彼"が叫ぶ。

「おうっ! 」「エネルギー充填120パーセント! 」

「1500000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000パーセント」

貯めすぎだ。


 「冗談だ」あっさりと呟く"彼女"。冗談でそんなでかい数を口走るな。

この無愛想な首だけ女は笑えない冗談を時々口走る癖がある。


 「さっさと撃ってくれッ! 」"呪術師"が叫ぶ。

「ららら~♪ 」唄っている場合か。"委員長"。いや、パニックになっているらしい。

それもそうだ。巨大な触手が『惑星』から伸びてくるのだから。


 その触手が吹っ飛ぶ。

「……」「……」「……」「……」「……ウソだろ」

我々の視界に。刀を持ってふんどし一本で泳ぎながら迎撃する"組長"の姿が見えた。ような気がする。いや、いまのは幻であろう。


 「発射」

強力な光が"組長"と『惑星』をつつんだ。

振動が『ロケット』内部すら揺らし、大音響となって響く。

『惑星』の最後である。


 「"組長"に黙祷」

我々は尊い犠牲の元、生き残ることができた。さらば"組長"。貴様のことは忘れない。


 「勝手に殺さんでほしいのぅ」

振り返るといつの間にか茶を飲んでいる"組長"がいた。ちっ。仕留めそこなったか。

「無事だったか」「おう。心配かけたの。"彼女"殿」

"組長"は手をひらひらさせて応えるが。


「ち」


"私"たちは一斉に舌打ちをしてみせた。"組長"は泣いていた。

我々の仲は最悪のようである。



 「ふう」

星の輝きを眺め、一人物思いにふける"私"。

「ダレモシンジルナ」か。あれはなんなんだろうか。

あのような連中と記憶がないとはいえ行動を共にして良いものか。


 「潮時だな」

私は脱出用ボートがこの「ロケット」に装備されているのを知っている。扱い方も。わかる。


……。

 ……。


 「てめぇは何者だ」

「"私"は……」


 宇宙そらをさ迷う"私"の宇宙ボートを拾った男たちに"私"は。応えることができなかった。

「"私"は誰だろうか」本当にわからない。


「俺たちの仲間だ」髭面の男は言い放った。多分そうなんだろう。

「そうか。宜しく」私は彼の手を握って見せた。


かがやく星の海の中、"私"達を乗せた翼のある帆船は飛ぶ。獲物を求めて。

我らは自由の民。『宇宙海賊』である。

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